遺産とは?【弁護士が解説】

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掲載日:2016年1月18日|最終更新日:2020年1月30日

  • 遺産にはどのようなものが含まれますか?
  • 何が相続の対象となるのでしょうか?
  • 遺産かどうかを調べる方法はありますか?

 

当事務所の相続対策チームには、このような遺産に関するご相談が寄せられています。

相続問題に注力する弁護士が遺産の調査について、わかりやすく解説いたします。

遺産とは

お金と不動産遺産とは、お亡くなりになられた方が残した財産のことをいいます。

財産というと、現金、不動産などを思い浮かべますが、相続の対象となるという法的な意味では、亡くなった方の一切の権利義務、すなわち、預貯金債権や借金なども対象となります。

ただし、一身専属権は除きます。

一身専属権とは、その亡くなった方でなければ、成立しない、又は、認められるべきでないような権利・義務のことをいいます。

例えば、雇用契約における従業員の地位、などがあります。

 

 

遺産の種類

遺産を考える上で重要なことは、相続の対象となるかどうかです。

そこで、以下、どのようなものが遺産の範囲(相続の対象)に含まれるのかを解説します。

当然に遺産の範囲に含まれるもの

預貯金

預貯金相続が発生したとき、遺産の中に預貯金が含まれていることがほとんどです。

預貯金は、遺産の中でも最も典型的な財産といえます。

したがって、ほとんどのケースでは、ご親族がお亡くなりなったら、遺産分割協議の中で、預貯金をどのように分けるかについて、話し合うこととなります。※

  1. ※ 実は、預貯金について、従来、裁判所は遺産分割協議の対象とすべきでないと判断していました。
    すなわち、従来の裁判所の立場だと、被相続人の預貯金は、相続の対象にはなるものの、遺産分割の対象にはならず、相続開始と同時に当然に相続分に応じて各相続人に分割されるとされていました。
    しかし、この考え方は、相続問題の一回的な解決ができないといった不都合が生じる可能性がありました。
    そこで、平成28年12月19日、最高裁の大法廷決定により、被相続人の普通預金債権、通常貯金債権、定期貯金債権はいずれも遺産分割の対象になるとの判例変更がなされました。
預貯金についてのよくあるご相談

預貯金については、遺産分割の対象であることから、遺産分割協議が済むまで、相続人であっても、自分の法定相続分に応じた預貯金の払い戻し請求を行うことができません。

しかし、相続が発生すると、葬儀費用や各種支払いなどで、現金が必要な場合が多くあります。

したがって、遺産分割協議をできるだけ早く、円滑に進めることが重要となります。

遺産分割協議のポイントについて、詳しくはこちらのページをご覧ください。

 

また、葬儀費用について、一定額については、銀行に直接請求が可能です。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

現金

お金現金は、亡くなった方の金銭であり、当然、遺産に含まれます。

しかし、現金は、流動性が極めて高いため、それを管理している方(亡くなった方と同居していた方など)の手元にある場合、使われてしまう可能性があります。

ここで注意が必要なのは、現金も上記の預貯金と同じように、遺産分割の対象となるということです。

すなわち、亡くなった方の現金は、遺産分割協議が済むまで、各相続人の共有的な財産であり、他の相続人の方々の同意なく、勝手に使うことはできません。

 

不動産

土地の評価不動産は、亡くなった方の土地や建物のことをいい、当然、遺産に含まれます。

したがって、遺言がない場合、不動産については遺産分割協議を行い、誰が相続するかを決めなければなりません。

不動産の遺産分割については、次の3つの方法があります。

換価分割 不動産を売却して、現金に変えて遺産分割するという方法です。
代償分割 相続人のうちの一人が単独で相続し、それ以外の相続人に当該不動産の価値相当分の現金を代わりに支払う(代償する)という方法です。
共有分割 相続人全員が共有の状態で相続分を得る方法です。

 

上記の分割方法のメリットとデメリットをまとめると、下表のとおりとなります。

分割方法 メリット デメリット
換価分割
  • 現金を法定相続分に応じて分割すると公平感がある。
  • 実家など不動産に愛着がある場合は残せない
  • 居住者がいれば引っ越す必要がある
代償分割
  • 不動産を残すことができる
  • 居住者が相続すれば引っ越す必要がない
  • 不動産の時価評価が難しいケースの場合に不公平な結果となる可能性がある
  • 不動産の価値が高い場合代償金の準備ができない可能性がある
共有分割
  • 法定相続分に応じて共有すると公平感がある
  • 後日、売却や大規模修繕の際に共有者全員の同意が必要となる
  • 次世代の相続(相続人が亡くなった場合)が発生すると持ち分が細分化されるため手続が面倒になる

どの方法が最適かは、事案で異なるので、くわしくは相続専門の弁護士にご相談されると良いでしょう。

 

不動産賃借権

マンションの評価のイメージイラスト不動産賃借権は、不動産の賃貸借契約に基づき、借り主(亡くなった方)が貸主に対し、当該不動産を使用収益させるように請求できる権利のことをいい、当然、相続の対象となります。

相続が発生すると、遺産分割が済むまで、法定相続分に応じて準共有※となります。

※所有権以外の財産権を複数人が有する場合を準共有といいます。

所有権の場合は共有です。

したがって、不動産賃借権についても、遺産分割協議が必要となります。

 

投資信託

投資信託とは、運用会社等の専門家が投資家(亡くなった方)に代わって株式や債権などの夕化粧券や不動産等に投資し、その利益の受け取る資産形成・資産運用のための金融商品をいいます。

投資信託において、投資家(亡くなった方)は、受益権(利益の分配を受け取る権利や償還金の受領等)があり、これには財産的価値があるため、当然、相続の対象となります。

 

 

遺産の範囲に含まれるか、検討が必要なもの

ゴルフ会員権

ゴルフ会員権は、いくつかの種類に分けることができます。

また、定款や会則規定などによって、その相続性に触れられている場合があります。

それらを1つ1つ確認して、遺産の範囲に含まれるかを検討する必要があります。

知的財産権

知的財産権の多くは、遺産の範囲に含まれます。

しかし、著作者人格権のように、著作者の一身専属的な権利は、遺産分割の範囲から外れます。

 

損害賠償請求権

損害賠償請求権は、大きく分けて財産的な損害賠償と、精神的な損害賠償(慰謝料)の2つがあります。

現在は、このいずれもが、遺産の範囲に含まれると考えられています。

 

身分法上の権利

書類身分法上の権利は、一身専属性が強く、遺産分割の範囲から除かれるものが多いです。

ただし、扶養請求権が審判などで確定し、履行期も到来して個別の債権として発生しているなど、その具体的な内容が確定している場合には、通常の債権と同様遺産の範囲に含まれる場合があります。

 

 

遺産の調査方法

弁護士上記のとおり、遺産と一口に言っても様々なものがあります。

相続が発生したら、亡くなった方の遺産を一つ一つ、もれなく調査し、かつ、適切に評価しなければなりません。

遺産の調査方法について、詳しくはこちらのページをご覧ください。

 

 

遺産のまとめ

弁護士宮崎晃以上、遺産について詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

相続が発生すると、悲しみの中で、法要や役場での手続など多忙な作業に追われることになります。

しかし、適切な相続を行うために、まずは遺産について、確認することが重要となります。

遺産相続のポイントは、「もれなく調査すること」と「適切に評価すること」です。

これらの遺産の調査や評価は、専門的な知識と豊富な経験が必要です。

そのため、素人判断ではなく、相続問題に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

当事務所の相続対策チームは、相続問題に注力する弁護士、税理士等で構成されるチームであり、遺産について調査するだけでなく、評価についてもサポートしています。

当事務所のご相談の流れについてはこちらのページをご覧ください。

 

 

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