不動産の代償分割を希望すれば、不動産を取得できますか?

掲載日:2019年9月10日|最終更新日:2019年9月10日

代償分割についての質問です。

母が死亡し、私A、弟のBが相続人となりました。

遺産は、1800万円の時価の自宅と預貯金200万円だけでした。

Bと遺産分割の協議をしたところ、法定相続分で分けることについては合意出来たものの、Bは、「田舎の実家なんて要らないから、売却して分けよう」と言ってきました。

私は、思い出のたくさんある実家を売却したくないので、Bにお金を払ってでも自分が取得すると言ったのですが、Bは「預貯金の取得に加えて、Aが即金で800万円を支払ってくれるならAが不動産を取得するということで構わないが、そうでなければ売却して分ける」といって聞きません。

このままでは協議がまとまらないと思うのですが、裁判所の手続を用いれば、不動産を取得することはできるでしょうか。

その場合、Bに支払う金銭は分割することが可能でしょうか。

協議がまとまらない場合に裁判所の調停を利用する場合においては、裁判所を間に入れたBさんとの話し合いとなりますので、Bさんに一定額を支払って不動産を取得できる可能性は十分ありますし、その場合に分割に応じてもらうことも可能です。

もっとも、これらはBさんの同意が必要になりますので、もし調停での話し合いでもまとまらない場合には、裁判所が決める審判という手続きに移行します。

この手続きでは、裁判所が様々な事情を考慮して分割方法を決めるのですが、Aさんに代償金を支払う資力があると判断されれば、Bさんに金銭を支払っての不動産の取得が可能であると言えますが、代償金を支払うだけの資力がないという場合には、不動産の取得を認めてもらえないでしょう。

そのため、Aさんに資力があるという資料を裁判所に提出する準備が必要になってきます。

また、Aさんの望むような代償分割を認めてもらえたとしても、代償金を分割して支払うことまでを認めてもらえるかは別問題です。

裁判所は数年間の分割を認める場合はありますので、主張をしてみる価値はあります。

不動産の分割の方法について

不動産の取得を希望する場合、不動産の評価額がその取得を希望する人の相続分より小さければ問題はありませんが、不動産の評価額が相続分よりも大きい場合には、不足分を他の相続人に代償金として支払うことで遺産を分割することがあります。

この分割方法のことを代償分割と言います。

まず、遺産分割において不動産を分割する方法は、以下の4つの方法があります。

  1. ①財産の形状や性質を変更することなく分割する「現物分割」
  2. ②前述の「代償分割」
  3. ③財産を売却等して金銭に変えて分割する「換価分割」
  4. ④財産を具体的相続分により共有で取得する「共有分割」

そして、①が原則で、④は最後の手段とされていますが、どの手段をとるかはケースバイケースと言えます。

 

 

▼代償金について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

代償分割の要件

協議や調停においては、上記の分割方法のうちどれを選ぶかは話し合いであって、特に基準があるわけではないのですが、誰か一人が取得することの合意があれば、現物分割か代償分割で、取得希望者がいないか複数名が当該遺産を希望している場合には、換価分割か共有分割という選択肢になるでしょう。

もし話し合いでまとまらない場合には、裁判所が遺産分割方法を決定する審判をするのですが、代償分割のためには家事事件手続法により「特別な事情」が必要とされています。

そして、この特別な事情の一つとして、判例は「不動産を取得する相続人に代償金の支払い能力があること」を挙げています。

そのため、代償分割をしたいと希望しても、取得希望者に現実に資力がなければそのような審判はされないことになります。

 

 

実務の扱い

通帳と印鑑とお金実務では、調停の段階で代償金の支払いのための資力があるかどうかを判断するための資料を求めることがしばしばあります。

例えば、預貯金から支払うのであれば、預貯金通帳の写しの提出をしますし、銀行や親族から融資を受ける場合にはその証明書を発行してもらって裁判所に提出することになります。

これらの資料から、取得希望者の資力があることが確認出来て初めて代償分割が認められることになるのです。

それでは、代償分割が認められない場合にはどうなるのでしょうか。

現物分割はできませんし、共有分割も法律関係を複雑にしますので最後の手段と言われています。

そうすると、ケースによりますが、換価分割になる可能性が高いと思われます。

 

 

代償分割の場合に分割が認められるか

弁護士代償分割が認められたとして、その分割が認められるかは別問題です。

数年の支払猶予や分割支払いが認められることはありますが、自宅を購入したときのような何十年もの分割払いが認められることはまずありえません。

もしそのような分割を認めてしまえば、代償金を支払ってもらう側の相続人が不利益を被ることになり、公平ではないからです。

また、分割等が認められた場合には、民法所定の割合による利息を付加することがありますので、その点も注意が必要です(民法所定の割合は、民法改正により5%から3%になる予定です)。

 

 

まとめ

自宅不動産の相談遺産分割は相手があることなので、希望をしたからと言って必ずしもその希望がとおるわけではありません。

そして、裁判所の審判となった際にもどの遺産分割方法がとられるかは分からないところです。

そのため、取得を希望する遺産があるのであれば、協議や調停において話し合いで解決するのが良いと言えます。

このことは不動産を取得しない側にも当てはまり、遺産分割の調停や審判は平均で10か月程度かかり、長いと数年必要になることもあります。

そして、換価分割をするとしても、売却までに時間を要することも多く、それらの費用や時間を考えると、取得しない側としても早期に代償金を支払ってもらうことで解決するというのはあり得るのです。

早期解決のためには、弁護士に相談をして、法的な見通しをつけることが大事になってきますので、まずは相続を専門とする弁護士にご相談ください。

 

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▼不動産の相続のポイントについて、詳しくはこちらをご覧ください。




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