療養看護に努めた義父が亡くなった。遺産分割に参加できる?

掲載日:2019年6月17日|最終更新日:2019年6月17日

療養看護に努めた義父の遺産分割 について相談です。

私は、配偶者Bの父Aが強く望むので、Bの実家に行き、無償で何年もの間、足の悪いAの身の回りの世話をしてきました。

そのAが令和元年10月に亡くなったのですが、相続人はBと妹のCです。

Cは、「相続人でもないのに図々しい」と言い、取り合ってもらえませんでした。

私がBのために長年尽くしてきたことは、遺産分割において何ら考慮されないのでしょうか。

私が遺産分割に参加することができないでしょうか。

教えてください。

花直接遺産分割の手続において相談者さんの療養看護を考慮することはできませんが、被相続人に対する療養看護について、相続人に特別寄与料を請求できる可能性があります。

療養看護などをして、それによって被相続人の財産の維持又は増加があった場合には、特別寄与料の請求権が認められますが、もし相続人との協議で特別寄与料について決まらない場合には、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求することができます。

もっとも、この協議に代わる処分の請求は、相続の開始と相続人を知った時から6か月以内、相続開始の時から1年以内に請求する必要がありますので、相続が開始したら、迅速に準備をする必要があるでしょう。

相続において療養看護に努めた人の労力は考慮されるのか

女性遺産分割の手続において、亡くなった被相続人の療養看護に努めた相続人がおり、その人が寄与した分を遺産分割の手続で考慮する寄与分の制度というものがあります。

 

もっとも、この寄与分の制度は、相続人のみが対象であり、相続人以外の親族が療養看護などに努めても寄与分の制度で直接考慮されることはありませんでした。

そのため、相続において被相続人の療養看護等に努めた子どもの配偶者や、兄弟姉妹などで相続人ではない人たちが不公平感を持つことがしばしば見られたのです。

そのため、平成30年の民法改正により、令和元年7月1日以降に開始した相続については、特別寄与料の請求の制度を創設し、被相続人の親族が一定の場合に相続人に請求できる権利が生じることになりました。

以下では、この制度について説明していきたいと思います。

 

 

特別寄与料の制度

(1)請求権者

夫婦この特別寄与料の請求をすることができるのは、被相続人の親族のみです。

療養看護に努めたお手伝いさんや配偶者の連れ子さんなどの場合
いくら労務を提供しても、この制度の請求権者とはなりません。

本件では、相談者は被相続人の子どもの配偶者ですので、親族に該当します。

 

(2)無償で療養看護その他の労務の提供をしたこと

介護次に、その請求権者が「無償で」「その他の労務の提供をしたこと」が必要になります。

本件では、相談者さんが無償で何年もの間被相続人の身の回りの世話をしていたとのことですので、この要件を満たす可能性はあると思われます。

 

(3)被相続人の財産の維持または増加があること

(2)の行為によって、被相続人の財産が維持又は増加したことが必要になります。

療養看護をしなかった場合と比較して、施設費やヘルパー代がかからなかったため、遺産が残せた場合
このような事情があれば、本件でも相談者さんはこの要件を満たすことはあり得るでしょう。

 

 

遺産分割手続きに参加できるか

上記の特別寄与料の要件を満たす場合はどうなるのでしょうか。

特別寄与料は、あくまで相続人にその法定相続分又は指定相続分の割合で金銭を請求できるものであり、残念ながら、遺産分割手続きに参加できるものではありません

話し合いそのため、特別寄与料の請求権者は、相続人に対して請求をして相続人と協議をすることを前提として定められていますが、当然協議によってもまとまらないことはあるので、その場合には家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求する手続(審判手続)を用いることになります。

家庭裁判所に対する請求に関する注意
相続の開始及び相続人を知った場合
相続の開始及び相続人を知った時から6か月以内にする必要があります。
相続の開始等を知らなかった場合
相続の開始の時から1年を経過した場合には、家庭裁判所の審判手続きを求めることはできなくなってしまうという期間制限があります。

本件でも、早めにCと協議をして、協議でまとまらないようでしたら、家庭裁判所を用いた手続きに移行することが必要になります。

 

 

まとめと補足

六法と時計上記のとおり、一定の場合には相談者さんの療養看護が金銭的に評価され、その金額をBやCに対して請求できる場合があります。

しかし、現実には協議をしても相続人が応じないことが多いでしょうし、今回のCさんの場合には相談者さんの貢献を認めることは難しいものと思われることから、家庭裁判所を用いた手続きに移行しなくてはいけない場合も少なくないと思われます。

そのような事態になることを想定し、早期に必要書類等を集めておく必要があるので、特別寄与料を求めたい場合には、早めに専門家である弁護士に相談をすることをおすすめします。

補足

特別寄与料の制度は、平成30年の民法改正により令和元年7月1日以降の相続において適用されるものですが、その改正法施行前についても、その不公平な扱いを避けるために、相続人の配偶者の貢献を相続人の履行補助者として行ったものとして考慮して寄与分を認める取扱いをしていた裁判例がありました。

本件でも、特別寄与料ではなく、相続人である配偶者の寄与分の主張の中で相談者の療養看護を考慮してもらうという可能性もあり得ます。

もっとも、このような寄与分で考慮する扱いは改正法施行前のことですので、改正法施行後についてまで寄与分で考慮できるかはわかりません。

特に特別寄与料の請求の場合、家庭裁判所への審判の請求期間が短く設定されていることから、この請求期間を越えて寄与分を請求した場合、寄与料の期間制限を定めた趣旨を没却しかねませんので、裁判所が寄与分で考慮しない可能性があります。

そのため、特別寄与料の請求をしたい場合には、迅速に資料を集め、家庭裁判所への請求の準備をするのが無難だと思われます。

 

 






なぜ弁護士に相談すべき?