相続法改正を弁護士が解説!遺留分制度に関する見直しとは?


問題点・趣旨

遺留分の解説例遺留分というのは、遺産から相続人が最低限もらえる分のことであり、遺言などによって、すべての遺産を特定の人に相続させる旨の遺言がある場合や、ほとんどの遺産を生前に贈与していた場合などに、相続人が自らの遺留分を主張して、その相続や贈与を受けた人から、財産を取得できる権利のことです。

この遺留分については、そのようなものが本当に必要かどうかについても、長年議論が重ねられているところですが、今回の改正においては、遺留分に基づく請求権の効力及び法的性質がかなり大幅に改正されました。

 

 

改正点・内容

相続法改正により、以下のような点が改正されました。

遺留分に基づく請求の効力

お金と不動産遺留分に基づいた請求は、現行法では、「遺留分減殺請求」と呼ばれています。

これは、遺留分を侵害している贈与や遺贈など一つ一つに対して、その効力を侵害額の限度で失わせるものであるため、その効力の「減殺」という文言となっているのです。

結果として、不動産の贈与などのものについての贈与を遺留分減殺請求により効力を一部失わせた場合には、遺留分減殺請求者が、現物で返還を求められる権利を得ることを原則とする一方、贈与を受けた側が、物ではなく金銭で支払うこと(価額弁償)を選択した場合にのみ、金銭を請求できることとしています。

この点について、相続法改正では、遺留分減殺請求という名前を改め、「遺留分侵害額請求」としています。

これは、前述のとおり、物自体の返還の権利を原則としていた遺留分減殺請求権を、金銭での返還を求める権利としたことを意味します。

少しわかりづらいので、事例で見てみましょう。

事例

葬儀被相続人が死亡し、配偶者のA及び子どものBが相続人となった。遺産は、不動産1000万円、預貯金1000万円である。被相続人は、Bにすべての遺産を相続させると書いた遺言書を遺していた。(Aの遺留分は、4分の1である)

この事例で、AがBに対し、遺留分減殺請求をすると、不動産の4分の1の返還と、預貯金の4分の1である250万円を請求する権利を有することになります。

そして、Bが不動産を渡す代わりに、Aにその価額を支払うとの意思表示をした場合にのみ、AはBに対して不動産の代わりに250万円を支払えということを請求できることになります。

一方、相続法改正では、AはBに対し、遺留分侵害額請求として、金銭を請求できるのみということになります。

つまり、不動産と預貯金の合計額2000万円の4分の1の500万円を請求できる権利ということです。

 

 

遺留分の算定方法

時間とノート遺留分の算定方法についても、相続法改正により変わります。

現行法では、遺留分の算定に入れる贈与について、相続人以外の第三者に対する贈与は、相続開始前の1年間にされた贈与に限られ、相続人に対する贈与については、1年間にされた贈与に加えて、「特別受益」に該当するものは無制限に遺留分の算定に入れることになっていました。

しかし、相続人に対する贈与については、その期間に限定がないことが問題視され、「特別受益」に該当するものでも、相続開始10年以内にされたものに限って、算定に入れることになりました。

この点についても事例で見てみましょう。

事例

弁護士相談被相続人が死亡し、配偶者A及び子どもBが相続人となった。遺産は、ほとんど見るべきものはない。

しかし、Bは、被相続人の死亡の半年前に1000万円の贈与を受けており、15年前には不動産の購入費として2000万円の贈与(特別受益)を受けている。なお、これらの贈与について遺留分権利者に損害を加えることは知らなかったものとする。

この場合、現行法では、Bが半年前に受けた1000万円の贈与は、1年の間にされた贈与なので、遺留分の算定に入ります。また、15年前の不動産の購入費としてもらった2000万円についても、特別受益に該当するので、遺留分の算定に入ります。

そうすると、AはBに対して、3000万円の4分の1である750万円を侵害額として請求することになります。

一方、相続法改正によれば、特別受益は相続開始の時から10年間の間にされたものに限るので、15年前の2000万円の贈与については、算定に入れないことになります。そのため、AはBに対して、1000万円の4分の1である250万円を侵害額として請求することになります。

 

 

遺留分侵害額算定における債務の取扱い

相続法改正では、遺留分侵害額請求を受けた場合において、その受遺者又は受贈者が、遺留分権利者の相続債務を消滅させる行為を行った場合には、その消滅した債務の額について、遺留分権利者に対する意思表示を行うことで、遺留分侵害額債務のうち遺留分権利者の代わりに支払った相続債務分を消滅させることができるようになります。

お金現在、相続債務は、債権者側からは相続人に対して法定相続分の割合で請求できることになっているため、遺留分権利者も相続放棄をしていない以上、相続債務を負っていることになります。

そのため、遺留分を侵害している遺贈や贈与を受けた受遺者や受贈者が、相続債務をすべて支払ってしまったような場合には、遺留分とは別に、解決をする必要がありました。

しかし、一回的な解決を行ったほうが当事者のためになりますし、法律関係も複雑にならずに済みますので、相続法改正のような規律とすることが予定されています。

 

遺留分侵害額請求を受けた受遺者又は受贈者の期限の許与

調査遺留分侵害額請求となったことに伴い、受遺者等は、不動産しかない場合でも金銭を請求されることになりました。

そうすると、不動産を売却するまでの間や、金策をとる間が必要となってきますので、相続法改正はその点も踏まえて、裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、遺留分侵害額債務の全部又は一部の支払について、相当の期限を許与してもらうことができると定めることになっています。

つまり、裁判所に受遺者等が申し立てをして、遺留分侵害額の支払について、支払期限を設けてもらうということです。

 

 

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