自分が死んだ後、葬儀を希望通りにしてもらうことはできますか?
相続問題に詳しい弁護士が解説します。
遺言によって、希望する葬儀方法や内容を明示しておく方法があります。
しかし、基本的には法的な拘束力はないため、希望通りに実施されるかは、相続人次第ではあります。
また、葬儀後に遺言が発見されることも多く、その場合には遺言に記載しても無意味となってしまいますので、早期に遺言を見てもらえるようにしておきましょう。
遺言に希望を書く意味とは?
遺言には、「遺言事項」と「付言事項」というものがあります。
遺言事項は、遺言に記載することで、法的に効力が生じるものですが、付言事項は法的な効力を生じるものではありません。
そして、葬儀の方法自体は付言事項ですので、遺言に記載しても、相続人がその通りに葬儀をするよう義務を課すものではありません。
なお、祭祀主宰者については、遺言事項なので、遺言者の意思で決めることができます。
負担付き遺贈とする方法
遺言では、誰かに特定の財産を渡すということを記載することができ、これを遺贈といい、遺贈を受ける者を受遺者といいます。
遺贈には、負担というものを付けることができ、負担を履行しない場合に、相続人は、受遺者に対し、「相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。」とされています。
そして、履行されない場合には、「その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる」とされており、この請求は遺言執行者でも可能と解されているので、遺言執行者を指定しておくことで、受遺者が遺言者の望む葬儀を行ってくれる可能性は高まるといえます。
遺言が発見されるようにしておく
遺言に葬儀のことを記載していても、葬儀後に遺言が発見されることや、葬儀後に開封されるということは少なくありません。
自筆証書遺言の場合には、家庭裁判所の検認が必要なため、なおさら葬儀後に開封される可能性が高いと言えます。また、公正証書遺言の場合でも、葬儀後に確認していくことが通常でしょう。
そうすると、遺言を発見してもらい、葬儀の希望を伝えるための方策を生前に講じておく必要があります。
具体的な方策としては、遺言のことを生前から相続人の誰かに伝えておくことが考えられます。しかし、遺言の内容を知られる可能性があるため、正式な遺言とは別に、葬儀方法だけを指定した遺言を作成しておいて、それを相続人に預けておくことも考えられるでしょう。
このように、遺言に葬儀の方法を示しておく場合には、遺言にどう記載するかという問題以外に、遺言をどのように見つけてもらうかという視点も必要になりますので、お気を付けください。
遺言の作成をお考えの方は弁護士にご相談ください
また、葬式の方法について遺言を残すと言っても、その記載は無数に考えられます。
特定の宗派で行ってほしい、永代供養を望む、といったことの他、葬儀を家族や身近な人だけで行ってもらいたい、散骨を望むなど、その有りようは様々で、希望を実現する方法としても、遺言のほかに信託や死因贈与を用いるといったことも考えられます。
遺言は、死亡した人の意思を最後に伝えるものなので、なるべく遺言者の意思が実現できるように作成したいものですが、どのような文言にすればよいか、どうしたら意思が実現してもらえるか、弁護士などの専門家でないとわからないことも多いと言えます。
当事務所では、家事事件チームを組んでおり、遺言者の意思を実現するために最適な方法を提示いたしますので、一度ご相談ください。
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