相続分の譲渡をしたら借金も支払う必要はなくなりますか?

相続

掲載日:2019年9月11日|最終更新日:2019年9月11日

相続分譲渡についての質問です。

先日父が亡くなり、私A、母のB、兄のCが相続人となりました。

私は、Bにすべて遺産を取得してもらえばいいと思っているのですが、Cは長男だから自分が取得すると言ってきかず、現在遺産分割の調停をしています。

私は、調停には参加したくなかったので、Bに対する相続分の譲渡証書を作成して調停からは抜けることができました。

その後、BとCの調停もまとまって、結局Cが折れて、Bが債務を含むすべての遺産を取得することになったそうです。

しかし、その後亡くなった父の債権者Dがでてきて、私やCに対して、「1000万円を貸しているのであなたの法定相続分である250万円を支払え」と言ってきました。

私は相続分譲渡をしてすでに相続人ではないですし、Cも遺産分割の調停ですべてBが取得すると決めた以上、借金を支払う必要はないと思っているのですが、払う必要はあるのでしょうか。

相続分の譲渡というのは、相続人の持分の譲渡であり、相続人の地位を譲渡しているわけではありません。

そのため、相続分譲渡の譲受人はあくまで債権者に対して譲渡人とともに債務を負っているだけであって、相続分の譲渡をしたとしても、譲渡者は、被相続人の債権者に対して債務を負い続けていることになります。

また、遺産分割の手続はあくまで相続人内部で遺産をどう分けるかであり、債権者は法定相続分に基づいて請求ができることには変わりません。

以上から、相談者Aさんや兄Cさんは、相続債務を法定相続分で負っていることになり、債権者Dさんからの請求に対して支払いをしなければならないことになります。

もっとも、母Bさんは相談者Aさんから相続分の譲渡を受けていますし、兄Cさんに対しても遺産分割調停で債務を承継することに合意していますので、母Bさんが最終的にはすべての債務の負担を負うことにはなりますから、相談者Aさんや兄Cさんは、Dさんに支払った後に母Bさんに対してその支払った分の金銭を請求できることにはなります。

相続分の譲渡と被相続人の債務

相続分の譲渡とは、相続人が持っている遺産に対する持分を譲渡することであり、相続放棄とは異なって、相続人の地位を喪失するのではありません。

あくまで相続人の地位はありつつ、持分だけを譲渡している状態です。

 

債権者との関係

相続分譲渡は譲渡者と譲受人双方だけでの問題であり、債権者としては相続分の譲渡の有無にかかわらず、法定相続分に基づいて借金の返済を求めることができるのです。

一方、相続分の譲受人側は、併存的債務引き受けをしているものと解されていますので、譲渡人とともに連帯して債務を負うことになり、債権者は譲受人にも請求できることになります。

なお、併存的債務引受については、民法にも条文がない状態でしたが、2020年4月1日から施行される民法の債権部分の改正により明文化されます。

 

譲渡人と譲受人との関係

では、譲渡人と譲受人の関係はどうでしょうか。

譲受人は、持分を譲り受けたわけですが、相続分がすべて譲渡されている場合には、基本的に債務も一緒に譲渡されているといえますので、譲受人が最終的な負担をすべきということになります。

そのため、譲渡人としては、債権者に支払った場合、支払った額について譲受人に求償を求めることができるのです。

 

 

遺産分割と被相続人の債務

遺産分割で債務の承継者が決められることは多いですが、遺産分割協議であろうと裁判所の調停や審判であろうと、債務の承継者が決まったとしても内部的な関係で債務の負担者を決めたにすぎません。

そのため、相続分の譲渡と同様に、債権者との関係では遺産分割で債務を負担しないことになった相続人も法定相続分で債務を負担していることになります。

遺産分割で債務を引き受けるとされた相続人が、併存的債務引受となることも相続分の譲渡と同様ですし、その後の処理も同じになります。

 

 

AさんやCさんが債務を免れるためにはどうしたら良かったか

書類と印鑑AさんやCさんとしては、債務を免れるために債権者の同意を得ておき、その旨の免責的債務引受の契約書を作成しておくべきだったと言えます。

しかし、現実には債権者には利益がないため、免責的債務引受に応じないということも多いでしょう。

このような場合には、相続分の譲渡や遺産分割の際に、債務を支払ってしまうことを条件として合意をすることも考えられます。

 

 

まとめ

六法全書と弁護士バッジ上記のとおり、遺産分割をした後に問題が生じることもありますので、遺産分割時にその問題が生じることを防ぐために、上述のように先に債権者と交渉を行って免責的債務引受の契約書を作成したり、問題が生じた場合の処理について条項として決めておくこともあり得ます。

このようなリスク等について認識せずに遺産分割をしてしまうと後々、遺産分割より時間がかかってしまうこともありますので、遺産分割の段階で専門家の意見を聞くべきでしょう。

まずは、相続を専門とする弁護士にご相談ください。

 

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