死亡後に親族ではなくなった場合でも特別寄与料の請求はできますか?

相続

掲載日:2019年8月19日|最終更新日:2019年8月19日

特別寄与料についての質問です。

令和元年10月に配偶者の父Aが亡くなったのですが、私と配偶者は、Aの希望で一緒に住んで、長期間Aの療養看護に努めてきました。

Aの死亡後に相続人であるBに対して特別寄与料を請求したところ、Bから「特別寄与料の請求権者は親族に限られており、今はもうすでに相続人と離婚をしているのだから親族ではない。」と言われました。

私と配偶者はAが亡くなった時点では婚姻していたのですが、その後Aが死亡して数ヶ月で配偶者が浮気をしていたことがわかり、離婚をしています。

相続開始後に親族ではなくなった場合には特別寄与料は請求できないのでしょうか。

仮に私がA死亡前に離婚していた場合はどうだったのでしょうか。

教えてください。

特別寄与料を請求するためには、被相続人の「親族」であることが必要ですが、相続開始時に特別寄与料の請求権は発生するため、その後に親族でなくなったとしても、特別寄与料の請求権には影響しないものと考えられます。

そのため、相談者さんが配偶者と離婚して、被相続人が死亡した後に親族ではなくなったとしても、特別寄与料の請求ができることになります。

以上から、相談者さんは、特別寄与料の要件を満たすのであれば、Bに特別寄与料を請求できるといえます。

一方、相談者さんがA死亡前に離婚をしていた場合には、A死亡時点ではAと相談者さんは親族関係にはないことになりますので、特別寄与料の請求はできないことになります。

特別寄与料の制度と趣旨

平成30年の民法改正により、令和元年7月1日以降に開始した相続については、相続人ではない親族で被相続人に労務の提供をした人について、特別寄与料を請求できるようになりました。

この特別寄与料の制度は、従前の寄与分の制度では抜け落ちていた相続人ではない人の被相続人への貢献を考慮する制度であり、実質的公平と被相続人の意思の推定がその趣旨と言われています。

 

 

特別寄与料制度にいう「親族」とは?

特別寄与料の請求権者は、「親族」に限られており、このように親族に限った理由としては、紛争の複雑化や長期化を避けることが挙げられています。

「親族」の範囲については民法で定まっていますが、婚姻や離婚、養子縁組や離縁によって親族となったり、親族ではなくなったりすることがありえます。

そのため、特別寄与料制度にいう「親族」とはどの時点で「親族」であればよいのかが争いになりえます。

「親族」かどうかの判断時点として、「相続開始時点」と「請求の時点」の2つが考えられますが、被相続人の推定的意思という趣旨からすれば、相続開始後に被相続人の意思が変わることはありえないので、請求の時点まで親族であることが必要であると解することは難しいでしょう。

また、相続開始時点で特別寄与料の請求権が発生しますから、その後の事情が考慮されるのは不合理ですし、相続開始時点を基準として「親族」かどうかを判断すると考えて良いと思われます。

家族

 

 

 

事実婚などは含まれないのか

少し本件とは異なりますが、請求権者である「親族」は民法上の親族関係を有する必要があり、事実婚や同性カップルのパートナーについては、含まれないと解されています。

民法改正の法制審議会での議論で事実婚等も含むことは検討されたそうですが、そもそも事実婚かどうかが争わられることも多く、その検討自体に時間を要するため、紛争が複雑化長期化することが予想され、今回の改正への導入は見送られた経緯があるようです。

そのため、事実婚の場合や被相続人の死亡時に親族ではなかった場合には、従前どおり、相続において原則として何も取得できないということになります。

 

 

本件では

相続放棄本件では、相談者さんは、被相続人の子どもと婚姻関係にあったのですから、A死亡時には親族であるといえます。

A死亡後には離婚をしていますが、相続開始後の事情は関係ありませんので、その他の要件を満たす限り、Aの相続人に対して特別寄与料の請求ができます。

仮にですが、相談者さんの離婚がAの相続開始前であった場合、相談者は死亡時に親族ではないので、被相続人に対して同じ貢献をしているにもかかわらず、特別寄与料の請求はできないということになります。

このことは不合理なように思えますが、前述のとおり、法的な親族関係をその要件として紛争の複雑化や長期化を避けることを意図して定められた制度である以上、やむを得ない結論だと思われます。

よって、他の特別寄与料の要件を満たせば、相談者さんには特別寄与料の請求が認められることになります。

▼特別寄与料の詳細についてはこちらをご覧ください。

 

 

まとめ

弁護士特別寄与料の制度は、平成30年の民法改正により創設された制度であり、未だに実務が固まっていないことが多い制度です。

特別寄与料の請求は寄与分の制度を補完するものでもあるので、その解釈には寄与分に関する実務での扱いや裁判例が参考になるものと思われます。

特別寄与料の要件や家庭裁判所に対する審判の請求については、専門的な検討も必要になってきますので、特別寄与料の請求を考えている方は、まず相続を専門とする弁護士にご相談することをおすすめします。

 

 


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