何十年も前の贈与が遺留分に関係するのですか?

遺留分

掲載日:2019年8月2日|最終更新日:2019年8月7日

遺留分侵害額請求についての質問です。

私は、配偶者Aと一緒に生活していましたが、令和元年10月にAが死亡して、遺言ですべての遺産を相続しました。

しかし、Aの前妻のお子さんであるBにAの死亡が伝わってしまったようで、Bから遺留分侵害額請求を受けました。

もちろん遺留分についてはお支払いをしようとは思っているのですが、Bからは、3年前に自分の死後困らないようにとAから贈与を受けた300万円と、私が結婚後すぐにAから300万円の贈与を受けて自動車を買っていたことを指摘し、それぞれの贈与を遺留分の算定に入れるべきだと言ってきました。

3年前の贈与は私の死後の生活費の側面があるのですから遺留分の算定に関係しないと考えていますし、自動車購入のための費用の贈与を受けたのはもう30年以上前なので、そんな昔のことまで遺留分に関係してくるのか不思議です。

これらの贈与が遺留分に影響するのか教えてください。

 


まず、相談者さんがBさんに金銭を支払うことについてですが、Bさんには遺留分がありますので、後述の特別受益も計算の上、Bさんに対して金銭を支払わなければなりません。

次に、相談者さんが3年前に受けた300万円の贈与ですが、これは特別受益というものにあたるので、遺留分の算定上考慮せざるを得ないものです。

これは死後の生活費としてもらっていたとしても結論は変わりません。

また、相談者さんが30年以上前にもらった贈与ですが、原則としては、遺留分侵害額請求の対象にはなりません。

もっとも、「当事者双方(贈与をした側とされた側の双方)が、遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたとき」には遺留分算定の基礎となってしまうことになります。

 

 

遺留分侵害額請求とは

遺留分というのは、遺言などで誰かに遺産をすべて相続させる旨の遺言があったり、生前に遺産となるはずだった財産を贈与していた場合などに、財産をもらっていない法定相続人が最低限もらう権利です。

▼遺留分について、詳しくはこちらをご覧ください。

この遺留分については、令和元年7月1日以降に相続が開始した場合と6月末日前に相続が開始した場合とでだいぶ扱いが異なることになりました。

そのため、相続が開始した時期が今後重要になってくることになります。

 

 

 

遺留分の算定にあたり生前に受けた贈与は考慮されるか

弁護士遺留分の算定にあたり考慮されるのは、死亡当時に残っていた遺産だけではなく、負債や死亡前1年以内にされた贈与がその算定の基礎になります。

また、1年以内の贈与ではなくても、死亡前10年以内に相続人にされた贈与で特別受益と呼ばれるものがこの算定に含まれることになります。

もっとも、この10年以内というのは、民法改正によって制限が加えられたものですので、令和元年6月末日までに相続が開始した事案については、10年以内という制限はなく仮に何十年も前の贈与でも算定の基礎になります。

▼民法改正による遺留分制度の変更について、詳しくはこちらをご覧ください。

▼特別受益に該当するかは専門的な判断が必要となってきます。詳しくはこちらをご覧ください。

さらに、死亡前10年以内ではない場合だとしても、「当事者双方(贈与をした側とされた側の双方)が、遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたとき」には、遺留分算定の基礎とされることになっていますので、その検討も必要でしょう。

もっとも、何十年も前に贈与をしたからと言って、贈与者の遺産は給与や年金などによってその後変動するので、すべての遺産を一人の相続人に全て贈与した場合など極端な場合以外には、この「当事者双方(贈与をした側とされた側の双方)が、遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたとき」には該当しないものと思われます。

 

 

本件について

相続税本件で、相談者が支払うべき遺留分侵害額ですが、その算定上、3年前の300万円の贈与と30年以上前の300万円の贈与は遺留分の算定の基礎とされるのか検討してみましょう。

まず、3年前の贈与については、Aさんの死後の相談者さんの生活のためにということで贈与していますので、特別受益に該当するものといえます。

また、相続開始前3年以内であって、10年以内という要件にも当てはまりますので、遺留分算定の基礎となります。

次に、30年以上前の贈与ですが、こちらは相続開始前10年以内の贈与ではないので、特別受益に該当するか否かを検討する必要はありません。

しかし、この贈与が「当事者双方(贈与をした側とされた側の双方)が、遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたとき」に該当する場合には、遺留分算定の基礎となります。

この点については事実によるのですが、30年以上前に死亡時の遺留分の侵害を知っていたとは思えませんし、すぐに亡くなることが想定されていたわけでもないので、遺留分権利者に損害を加えることを知っていたとは言えないでしょう。

よって、結論としては3年前の贈与は遺留分の算定に含まれ、30年以上前の贈与は含まれないということになるでしょう。

 

 

まとめ

弁護士遺留分の制度は、平成30年の民法改正で大幅に変わりましたので、相続開始がいつかをしっかり判断して、適用される法律を踏まえて、その後の請求に備える必要がありますし、遺言を作成する際にもその点に配慮した遺言を作成する必要があります。

また、特別受益該当性の判断は専門的なものになりますので、まずは相続を専門とする弁護士に相談されることをおすすめします。

 

 


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