遺言の保管制度とは?【弁護士が解説】

遺言書

掲載日:2019年7月22日|最終更新日:2019年7月22日

自筆証書遺言について、法務局が保管する制度のことです。

家裁による遺言の検認を省略し、相続登記や遺産である預貯金の解約手続等を早期に行うことができるというメリットがあります。

 

遺言の保管とは

遺言の保管とは、法務局が自筆証書遺言を保管する制度をいいます。

遺言には、以下の3つがあります。

①自筆証書遺言

②公正証書遺言

③秘密証書遺言

このうち、自筆証書遺言とは、財産目録を除く全文を自筆で記載する形式で行う遺言のことをいいます。

自筆証書遺言は、自分で作成する場合は費用がまったくかからず、法律の要件を満たせば自分でも作成できるというメリットがあります。

他方で、要件が法定されており、形式不備等により無効となるおそれがあります。

また、遺言書の紛失、隠匿、偽造のおそれがあります。

さらに、家裁の検認手続が必要ということがデメリットとしてあげられます。

▼遺言書(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)の説明や特徴についての比較は、こちらのページをご覧ください。

 

 

自筆証書遺言の保管制度の目的とは

自筆証書遺言の保管制度は、高齢化社会の進展等に鑑み、以下を目的としています。

目的

  • 遺言書の紛失等を防止すること
  • 遺言書の真正をめぐる争いを抑止すること

 

メリット

  • 法務局(遺言書保管官)が自筆証書遺言書の法的適合性を審査するので、形式不備により無効となるのを防止できる。
  • 法務局が自筆証書遺言書を保管するので、紛失や偽造等の心配がいらない。

 

 

自筆証書遺言の保管制度の流れ

 自筆証書遺言書の作成 

自筆証書遺言は法定の要件を満たせば自分でも作成は可能です。弁護士などの専門家の助言のもと作成することで適切な内容となるようにしましょう。

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 遺言書の保管申請・本人確認 

遺言者自らが遺言書保管所に出頭して遺言書保管官に対して、申請書とともに保管の申請をします。遺言書保管官は申請人の本人確認を行います。

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 遺言書の保管・遺言書の閲覧 

遺言書は遺言書保管所において保管されます。遺言者は、特定遺言書保管所において、いつでも遺言書(原本)の閲覧を請求できます。閲覧は遺言書本人に限られます。

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 保管申請の撤回・遺言書の返還 

遺言者は、特定遺言書保管所に自ら出頭し、保管を撤回することができます。撤回すると、遺言書が返還されます。

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 遺言者の死亡(相続開始) 

 

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 遺言書情報証明書の交付請求
遺言の閲覧請求
相続人は、相続開始後は、遺言書情報証明書(遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明した書面)の交付を請求できます(遺言者生存中はできません。)。相続人は、遺言書保管官に対し、遺言書(原本)の閲覧を請求できます。

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 相続人等への通知 遺言書保管官は、遺言書情報証明書を交付し、又は、遺言書を閲覧させた場合、速やかに、遺言者の相続人等(受遺者・執行者)に対して、遺言書を保管している旨を通知しなければなりません。

 

 

 

 

遺言書はいつから保管ができる?

遺言書保管法の施行期日は、2020年7月10日となっています。

施行前は、法務局に対して遺言書の保管を申請することはできません。

 

 

相続人以外は遺言書情報証明書を請求できる?

遺言書情報請求書の交付請求及び遺言書の閲覧請求は、相続人等一定の者(「関係相続人等」といいます。)に限定されています。

関係相続人等については、法務局における遺言書の保管等に関する法律第9条1項で法定されています。

また、請求できるのは、プライバシー保護の観点から、遺言者の死亡後と決まっています。

関係相続人等以外の者は、遺言書の本文の情報を請求できません。

しかし以下の事項については、証明書(遺言書保管事実証明書)の交付を請求することができます。

  • 遺言書保管所における関係遺言書の保管の有無
  • 遺言書に記載されている作成年月日
  • 遺言書保管所の名称及び保管番号

 

 

まとめ

自筆証書遺言は保管制度を利用することで、紛失、偽造等を防止できるとともに、家裁の検認を省略できるため、残されるご親族のことを考えると、検討すべき遺言の一方法と言えます。

もっとも、遺言書に記載する内容の妥当性等については、遺言書保管官は審査できません。

また、遺言の方式としては、他に、公正証書遺言等もあります。

具体的な事案に応じて、どのような種類の遺言書を作成すべきか異なるため、遺言書作成を検討されている方は、相続問題に精通した弁護士に助言を求め、トラブルを回避できるようにしましょう。

当事務所の相続対策チームは、最新の相続法令を踏まえ、親身になって解決方法をご提案いたします。

 

▼当事務所のご相談の流れについては、こちらのページをご覧ください。

 

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