自筆証書遺言の注意点とは?【弁護士が解説】

遺言書

掲載日:2019年6月28日|最終更新日:2019年6月28日

万年筆自筆証書遺言は、遺言書の本文、日付、氏名の自書・押印が必要です。

また、財産目録はパソコンによる記載等でも構いませんが、この場合、すべてのページに署名・押印が必要となります。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、財産目録を除く全文を自筆で記載する形式で行う遺言のことをいいます。

他の形式の遺言書(公正証書遺言・秘密証書遺言)の説明や特徴についての比較は、こちらのページをごらんください。

弁護士遺言書は、被相続人となる方の意思を反映し、遺産を相続人に残すための大切な書類です。

遺言書を作成した後、誰かが勝手に遺言書を偽造・変造すると、被相続人の想いを承継することができなくなってしまいます。

そのため、偽造・変造防止のために、厳格な方式が定められています

他方で、不必要に厳格な方式を定めると、無効な自筆証書遺言が多くなってしまうという弊害があります。

そこで、2018年の相続法改正によって、自筆証書遺言の方式は一部緩和されることとなりました。

以下、法改正を踏まえた自筆証書遺言の注意点やポイントについて、解説いたします。

 

 

自筆証書遺言をつくるときの3つの注意点(法的有効要件)

①遺言書本文の記載は自筆が必要

ペンと印鑑自筆証書遺言書は、本文、日付、氏名は遺言者自らが署名し、かつ、押印しなければなりません(民法968条1項)。

 

②財産目録についてのみ自筆は不要

パソコンとノート遺言作成の利便性の観点から、相続財産の特定に必要な事項(つまり、財産目録)については、自筆による必要はありません。

もちろん、自筆でも有効ですが、パソコンを利用して目録をタイプする方法が選択できます。

また、財産目録は、遺言者以外の者が代筆しても構いません

さらに、預貯金については通帳の写し不動産については登記事項証明書等を添付する方法でも大丈夫です。

自筆以外で財産目録を作成する場合の注意点
当該財産目録のすべてのページに自筆で署名と押印が必要
当該財産目録のすべてのページに、遺言者が自筆で署名し、かつ、押印しなければなりません(民法968条2項)。
当該財産目録が両面に記載されている場合、両面に自筆で署名と押印が必要
自筆以外で財産目録を作成する場合、片面のみではなく、その両面に自筆で署名し、かつ、押印しなければなりません(民法968条2項の括弧書き)。

 

③自筆証書遺言書を加筆・修正するときの注意点

自筆証書遺言書を加筆・修正する場合、遺言者は、遺言書の中でその場所を指示し、これを変更した旨記載しなければなりません

また、自筆で署名して、その変更の場所に押印しなければなりません(民法968条3項)。

遺言書を加筆・修正するときのサンプルを下記に示しますので、参考にされてください。

【遺言書の修正例】

(出典:法務省ホームページ http://www.moj.go.jp/content/001244449

参考:民法の条文
(自筆証書遺言)
第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

 

 

自筆証書遺言作成の5つのポイント

以下は法的な有効要件ではありませんが、トラブル防止のためのポイントについて解説します。

①書式等に決まりはある?

遺言書

書式の決まりは?

法律上の規定はありませんが、遺言書であることをわかりやすくするために、タイトルには「遺言書」と記載したほうが良いでしょう(上記のサンプル【遺言書の修正例】を参照)。

用紙の決まりは?

法律上の規定はありません。便箋でも、ノートでも、A4用紙など特に決まりはありませんが、文字が書きやすくきれいな用紙にすべきです。

 

②筆記具はどうする?

ボールペン筆記具について、法律上の規定はなく、ボールペン、万年筆、筆等なんでも構いませんが、偽造等の可能性がある鉛筆書きは避けたほうが良いでしょう。

前記のとおり、本文は自筆が必要なので、ワープロ等は不可です。

 

③日付はどう書く?

日付は、遺言成立時の遺言能力の有無や遺言の前後を確定するために必要です。

「2019年9月」などのような記載は、日付が特定できないので無効と考えられます(最判昭52.1.29)。

暦については?
西暦(例:2020年)でも和暦(例:令和2年)でも構いません。
「70歳の誕生日」や「還暦の日」などでもいい?

日付けが特定できるので法的には問題はありませんが、トラブル防止のために、「○年○月○日」などのようなオーソドックスな記載が望ましいと思われます。

 

④氏名はどうする?

戸籍氏名については、遺言者本人の同一性が認識できればよいため、法的には通称名やペンネームでも有効になると考えられています。

しかし、トラブル防止の観点からは、オーソドックスに戸籍上の氏名を記載したほうが良いでしょう。

 

⑤印は何でもよいか?

公的書類印鑑については、法的には認印や拇印でも可能と考えられています(最判平元.2.16)。

しかし、トラブル防止のために、拇印は避けたほうが良いでしょう。

遺言書が複数ページになる場合
綴じた上で契印をした方が望ましいと思われます。

 

 

まとめ

弁護士上記のとおり、自筆証書遺言は、法改正によって様式が緩和されたとはいえ、一定の方式が法定されており、要件を満たさないと無効となってしまいます。

また、法的有効要件を満たしたとしても、適切に作成しないと思わぬトラブルが発生する可能性があります。

さらに、このページでは、自筆証書遺言について詳しく解説しましたが、遺言書は公正証書遺言等を活用する方法も検討すべきです。
17

六法全書と弁護士バッジ具体的な事案に応じて、どのような種類の遺言書を作成すべきか異なるため、遺言書作成を検討されている方は、相続問題に精通した弁護士に助言を求め、トラブルを回避できるようにしましょう。

当事務所の相続対策チームは、最新の相続法令を踏まえ、親身になって解決方法をご提案いたします

当事務所のご相談の流れについてはこちらのページを御覧ください。

 

 

 

執筆者

[ 相続Q&A一覧に戻る ]


 

相続発生後のお悩み解決法



なぜ弁護士に相談すべき?