認知症になった親から子どもとして認知してもらうことはできる?



悩む三姉妹私は、Aの子どもとして育てられたのですが、成人になってからは疎遠になり、会っていませんでした。

しかし、先日戸籍を取り寄せたところ、Aから認知されていないということがわかりました。

私はAと連絡を取ろうと思いましたが、Aは認知症になっているようで、全く話になりませんでした。認知症になった親から子どもとして認知してもらうことができるのでしょうか。

 

 

弁護士入野田智也認知をしてもらうためには、任意認知の方法と裁判認知の方法があります。

認知症で全く話もできないということであれば、任意の認知は難しいでしょう。その場合には裁判認知が考えられます。

もっとも、裁判認知の場合には、Aに成年後見人が就いているかどうかで対応方法が変わってきますので、注意が必要です。

 

認知症の親に対して認知を請求する場合

戸籍上の子どもとなるためには

家族戸籍上、子どもとなるためには、

① 任意認知
② 裁判認知(強制認知)

のどちらかが必要となります。

任意認知とは、文字通り、Aが自ら認知届を書いて、役所に提出するというものです。

しかし、Aは任意認知をする能力、すなわち認知能力があるのかが問題となってきます。

高齢者認知能力というのは、成年後見人が就いていたとしても失われません、意思能力がなければ認知能力もないと判断されますが、一般的に重度の認知症の場合には意思能力もないといえるでしょう。

しかし、認知症が軽度であったり、意思能力が常にないとは言えない場合には、医師の診断を受けつつ、認知をしてもらうという方法はあり得ます。

もっとも、裁判認知については、相手に意思能力がなくても、後見人がいればその後見人を被告として訴訟を提起することができますので、意思能力がないと思われる場合でも裁判認知は可能ということになります。

 

後見人もいない場合

代理人がいないと訴訟ができない

問題なのは、Aに意思能力がなく、Aに後見人も就いていない場合です。

この場合には、Aの任意認知が見込めないばかりか、訴訟を提起しても意思能力がため、訴えは却下されてしまいます。

この場合には、訴訟提起と同時に特別代理人の選任を申し立てることが必要となります。

六法全書と弁護士バッジ特別代理人とは、民事訴訟法35条に以下のとおり定められています。
「法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる。」

つまり、Aに意思能力がないのに代理人がいない場合に、一定の条件を満たせば、裁判所が代わりに代理人を立ててくれるという制度です。

一定の条件とは、「遅滞のため損害を受けるおそれがあること」です。

特別代理人を立ててもらえるのか

「遅滞のため損害を受けるおそれ」については、「法的な損害」のみならず、「証拠散逸のおそれ」なども含むとされています。そうすると、以下のことが「遅滞のため損害を受けるおそれ」に該当すると思われます。

① 父子関係自体が法的地位であり、この地位をAの死後まで得られないこと自体が損害であること
② 死後認知の訴えでは、相続手続に参加できないおそれが高く、相続手続が終了している場合には価額請求しかできないことがありうること
③ 死後認知の訴えでは、DNA検査のための資料が散逸する可能性があること

まとめ

以上説明してきましたが、意思能力の有無及び後見人の有無によって、下記のとおり取れる手段が異なります。

意思能力の有無
あり なし
後見人の有無 あり 任意認知 or 裁判認知 裁判認知
なし 裁判認知(特別代理人選任必要)

話し合い認知については、話し合いで解決できるのが一番ですが、認知をしてもらえない場合や相手方に意思能力がない場合など、訴訟を提起せざるを得ないこともあります。

訴訟となるとどのような証拠が必要か、どのような手続きが必要かを判断することが必要となりますので、まずは弁護士に相談ください。

当事務所では、相続を専門とした弁護士がご相談に乗りますので、まずは一度相談にお越しください。

 

 

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