預金の名義人が死亡した場合、利息の扱いはどうなりますか?



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弁護士遺産分割の対象となります。

被相続人の方の生前に発生した利息が相続財産となることは当然です。

しかし、相続開始後、預金の元金から生じた利息は、預金口座の名義人は亡くなっているため、どのように考えるかが問題となります。

この問題について、従来の裁判例は、「預金の元金から生じる利息、遅延損害金も、法定相続分に応じて各相続人に帰属する」と判示していました(東京高判平成21年8 月6日)。

ところが、平成28年12月19日、最高裁は、被相続人の普通預金債権、通常貯金債権、定期貯金債権はいずれも遺産分割の対象になると判示し、従来の判例を変更しました。

この裁判例の詳しい解説はこちらをごらんください。

弁護士なお、従来の裁判例のもとでも、実際の銀行実務では、当時の判例の立場とは異なり、相続人全員の同意書や遺産分割協議書の提出がなければ、相続人1人からの払戻請求には応じてくれませんでした。

これは、銀行が相続人間のトラブルに巻き込まれたくないなどの事情があるからです。

もちろん、相続人1人でも、銀行相手に裁判を起こせば、払い戻しは認められますが、通常はそこまでしない(できない)ため、銀行は同意書等を求める対応を取ります。

そこで、現実的には、同意書等、銀行が求める書類を提出したほうが早いという状況でした。

預金口座の取引経過の開示請求

相続人が被相続人の預金口座の内容について、把握していないことは多いと思います。

そこで、銀行に対して、取引経過の開示を求めることができるかが問題となります。

お金と通帳この問題について、以前は銀行によって「相続人は1人でも請求できる」という扱いと、「共同相続人全員で請求しなければならない」という扱いがあり、対応が分かれていました。

この問題で、裁判所は、共同相続人は1人でも銀行に対し、被相続人の預金口座の取引経過の開示を求めることができると判示しました(最判平成21年1月22日)。

したがって、現在は、戸籍謄本等によって相続人であること、また、印鑑証明書や身分証明書で本人確認ができれば、銀行は1人からの請求でも取引経過を開示してくれるはずです。

 

 

預金の名義人死亡時の問題

当事務所の相続対策チームには、預貯金の問題に関してたくさんのご相談が寄せられています。

預貯金をめぐる問題は以下のとおりです。

  • 相続人が複数の場合遺産分割協議が必要

話し合い相続人が一人の場合、遺産分割協議は不要です。

しかし、相続人が2名以上の場合、誰がどの遺産を取得するかを話し合う必要があります。

これを遺産分割協議と言います。遺産分割については、こちらもごらんください。

  • 遺言書がある場合その有効性が問題となるケースも?

チェックリスト被相続人(亡くなった方)の遺言書がある場合、法定の有効要件を満たす必要があり、これを欠くと遺言が無効となります。

遺言書の種類と書き方について、くわしくはこちらをごらんください。

 

  • 銀行の手続が面倒

相続発生後、銀行に対して取引履歴を取り寄せたり、他の相続人から同意書を取り付けたりするのは骨が折れる作業です。

また、素人の方の場合、何が必要書類かわからない、という問題もあります。

 

 

預金の名義人が死亡したときのポイント

上記を踏まえて、預金名義人が死亡したときのポイントについて解説いたします。

遺産分割前における預貯金債権の行使

電卓とお金被相続人が亡くなった場合、葬式等の費用や病院への支払、配偶者の当面の生活費などそれなりの金銭が必要になります。

その資金として、生命保険金などを残してくれている場合には問題はないのですが、預貯金しかないような場合には、被相続人の死後は口座が凍結されてしまい、銀行は預貯金の払戻しを受け付けてくれないため、問題が生じていました。

この問題を解決するために、預貯金債権の一部について、遺産分割前でも払い戻しを受けることができるように法改正がされました。

この制度について、くわしくはこちらをごらんください。

 

遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議書トラブルを防止するために、適切な遺産分割協議書を作成する必要があります。

しかし、遺産分割協議書は、専門知識がないと作成するのが困難です。

専門家に助言を求めて、適切な遺産分割協議書の作成を行うことがポイントとなります。

なお、当事務所では、遺産分割に関する書式集をホームページに掲載し、無料でダウンロードできるようにしています。ダウンロードはこちらからどうぞ。

ただし、適切な遺産分割の内容は個々の案件ごとに異なります。あくまで参考程度にされてください。

 

 

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