死後に認知を受けたのですが、父の遺産をもらえますか?

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掲載日:2019年6月21日|最終更新日:2019年8月30日

死後認知でも、遺産をもらえますか?

私Cは、父Aと母Bの間に産まれたのですが、AとBは結婚することはなく、Bが拒んだことからAは認知をすることができず、現在まで私とAは戸籍上の親子関係がありませんでした。

しかし、去る平成31年4月1日にAが死亡した、という知らせを聞いたので、死亡後ですが、やはり親子関係を戸籍上も残しておきたいと思い、死後認知請求の訴訟をして、1年越しに認知の判決をもらいました。

気持ちの問題で死後認知請求の訴訟をしましたが、認知をしてもらった以上、Aの遺産を一部いただきたいと思っています。

もっとも、Aは遺言ですべての遺産を配偶者であるDに相続させる旨の遺言を書いていたようで、そのため、私はDに対して遺留分減殺請求をしたいと思っています。

遺留分減殺請求をしたところ、Dからは、遺言の存在は1年以上前に知っていたので時効で請求できないはずだと言われました。

1年以内というのは、遺言の存在を知ってから1年なのでしょうか?

また、私は父の形見がほしいので、できればお金ではなくAの持っていた不動産がほしいと思っているのですが、不動産などの物をもらうことができるのでしょうか?

 

 

弁護士まず、Cさんが遺留分減殺請求をできる期間は、遺言を知ってから1年ではなく、認知の認容判決確定から1年ですので、Cさんは遺留分減殺請求をすることができます。

一方、Cさんは遺留分をお金ではなく物でもらいたいと考えているようですが、死後認知の場合、すでに相続人間で遺産分割がされていたり、遺言があって遺産分割の必要がないときは価額支払請求によって遺留分を求めることになります。

そのため、遺産自体を求めることはできず、あくまで請求時の遺留分侵害額を請求できるに過ぎないのです。

※この記事は、令和元年6月末日までに相続が開始した場合に当てはまるものですので、被相続人死亡の時期にご注意ください。

 

 

遺留分減殺請求と死後認知の関係性

弁護士と税理士遺留分減殺請求については、「相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時」から1年の間に請求をしないといけないと規定されています。

この「相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時」がいつかですが、相続の開始というのは、被相続人の死亡を知ったことであり、減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時の典型例は、遺言ですべての遺産を特定の人に相続させる旨の遺言があったことを知った時です。

そのため、通常は被相続人が死亡してその遺言の存在と内容を知った時点から1年以内に遺留分減殺請求をしないといけないことになります。

認知をされていない場合

認知されていない人は、その時点では相続人ではないのですから、遺留分権利者ではありません。

認知請求訴訟は、その人が死亡した後3年以内であれば可能ですが、その裁判が確定するまでに1年以上かかる事案も少なくありません。

その様な場合に、被相続人の死亡と遺言を知っていたから遺留分減殺請求できないというのはあまりにも常識から外れた結論になります。

この点については、認知認容の判決が確定した時点で相続人となることが確定するのですから、判決確定時から1年以内であれば遺留分減殺請求はできると解されています。

 

 

すでに遺産分割がなされていた場合にはどうなるか

裁判例死後認知の請求から認容判決の確定までは前述のとおり、長期間が経過しているのが通常です。

そのため、遺留分減殺請求をした時点で、すでに相続人の間で遺産分割が終了していたり、遺言に基づいて名義などが変更されていることが通常です。

認知の認容判決の確定により、法律上も、出生から遡って子どもであることになるため、相続人を欠いた遺産分割は無効のようにも思えます。

しかし、すでに遺産を第三者に売却していたりすることも多く、その場合に遺産分割を無効とすることは影響が大きくなってしまいますので、そのような場合には、民法910条に基づいて価額支払請求のみできるというように解されています。

もし、遺言ですべての遺産が一部の相続人に相続させる旨の遺言があっても、遺留分減殺請求をすると、その遺言が遺留分に抵触する限りで無効となり、不動産などは共有状態になると解されていますが、死後認知の場合には民法910条により、そのような共有状態にはならず、あくまで価額支払いを求めることしかできないと解されているです。

 

 

本件についての補足とまとめ

お金と通帳本件では、Cさんは認知の請求をして認容判決が確定していますので、この判決確定時点から1年以内であれば、Dさんに対して遺留分減殺請求をできることになります。

また、Dさんは遺言によりすべての遺産を取得しており、民法910条の趣旨からCさんはDさんに対して、あくまで価額支払いを求めることができるに過ぎず、物自体については請求できないことになります。

本件は、遺留分減殺請求の場合の解説でしたが、令和元年7月1日以降に相続が開始した場合は、この遺留分減殺請求が遺留分侵害額請求に変わります。

遺留分減殺請求と異なり、金銭の支払いを求める請求権となりますので、今後は、死後認知かどうかにかかわりなく、金銭の支払いしか求められないという結論になります。

死後認知についても、死亡後3年以内という期限があり、被告を検察官にする必要があるなど、簡単な手続ではありません。

死後認知及びその後の遺留分の請求についてはしっかりと専門家である弁護士に相談し、対策をとる必要があるでしょう。

まずは、相続を専門とする弁護士にご相談ください。

 

 


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