生前の預貯金の使い込みがある場合の遺産分割とは?



事例

Xさんがお亡くなりになられました。ご遺族(相続人)には、妻A、長男B、長女Cの3人がいます。妻Aが夫から預貯金の管理を任せられており、Xさんの死後、妻Aの管理に関して合計500万円もの使途不明金があることが発覚しました。このような場合、BやCは遺産分割を行うことができるでしょうか?

預貯金の使い込みをAが認めていない場合

チェックリストB及びCがAを追求したところ、Aが「知らぬ存ぜぬ」の対応の場合、遺産分割協議は困難です。

 

このような場合、裁判所に対して、民事訴訟を提起する方法があります。

その際の法的な根拠としては、不当利得返還請求(民法703条)ないし不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)が考えられます。

裁判では、預貯金の使い込みを主張する、BないしCに立証責任が課せられます。

そのため、訴訟を提起する前に、例えば、当該預貯金の取引履歴を取り寄せて、出金の年月日、額などを調査するなどして、立証の可否等を検討する必要があります。

なお、取引履歴の開示について、銀行等の金融機関は、プライバシーを理由に開示しないことも考えられます。

しかし、相続人は利害関係を有するので、預貯金の取引履歴については、相続人が単独で行うことが可能です(最判平21.1.22)。

 

 

預貯金の使い込みをAが認めた場合

B及びCがAを追求したところ、Aが預貯金の使い込みを認めた場合、遺産分割協議が可能です。

 

この場合、遺産分割協議において、使途不明金について、具体的に遺産であることを互いに確認するとよいでしょう。

遺産分割協議書の記載例

では、具体的に、どのような遺産分割協議書を作成すればよいのか、以下ではサンプルを示しながら解説します。

【使途不明金がある場合の遺産分割協議書】

 

第○条
A、B及びCは、次の財産が被相続人Xの遺産であることを互いに確認し、これをAが取得するものとする。
○○銀行 ○○支店 普通 口座番号○○○○○の使途不明金500万円に係る返還請求権

第○条
次の預金は、Bが取得するものとする。
○○銀行 ○○支店 普通 口座番号○○○○○ ○○円(相続開始日の残高)

第○条
次の預金は、Cが取得するものとする。
○○銀行 ○○支店 普通 口座番号○○○○○ ○○円(相続開始日の残高)

 

①使途不明金の法的性格

Aの預貯金の管理が被相続人Xとの管理委任契約によって行われている場合、委任者であるXは、預貯金を使い込んだAに対して、 委任契約上の返還請求権(民法646条1号)又不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)を有します。この請求権は、Xの遺産となり、遺産分割の対象となります。
なお、仮に、XがAに預貯金の管理を任せていなかった場合は、不当利得返還請求(民法703条)ないし不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)を有するものと解されます。

 

②使途不明金の精算方法

裁判例本件では、Aが預貯金の使い込みを認めているため、その精算方法を遺産分割協議書に記載することで、解決が可能です。
具体的な方法としては、Aが使い込んだ500万円をいったん、現金で返還するという方法も可能ですが、煩雑です。
そこで、Aが返還請求権を遺産として自ら相続取得することとし、それを前提に、残りの遺産を分割すれば、簡便に遺産分割を処理することが可能です。
上記のサンプルは、その方法を前提に作成しています。

 

 

預貯金使い込みの問題点

預貯金の使い込みには、以下のような問題点が考えられます。

使い込みの額を調査が難しい

一般の方の場合、取引履歴の開示請求がわからない、という問題があります。
また、取引履歴を取り寄せることができたとしても、どこが使い込みの箇所に該当するのかがはっきりしないという問題が生じます。

 

民事訴訟で戦うのは容易ではない

民事訴訟において、預貯金の使い込みを主張立証するのは決して簡単ではありません。
預貯金の使い込みに精通した弁護士でなければ裁判で戦うのは難しいと考えられます。
また、民事訴訟は長期化します。解決まで数年間を要することも珍しくありません。

 

遺産分割協議書の作成

仮に、相手方が預貯金の使い込みを認めたとしても、適切な遺産分割協議書を作成しなければ、後々トラブルとなる可能性があります。

 

 

当事務所の相続対策チームに相談するメリット

当事務所では、預貯金の使い込み事案については、相続に精通した弁護士がチームを構成してサポートしています。

預貯金使い込み無料相談

弁護士川本隆相談者の方がおかれた具体的な状況に照らして、どのようにすれば、預貯金の使い込みを立証できるか、効果的な進め方はどうするのか、などについてご助言いたします。

また、預貯金の使い込みだけではなく、法定相続分の算出、相続税など、相続に関する難しい問題について、相続弁護士がわかりやすく解説します。これらの相続に関する相談は、初回無料で行っています。

 

代理交渉サポート

当事務所の相続弁護士は、依頼者の方に代わって、相手方に対して、使い込んだ預貯金の返還を求め、遺産分割協議を行います。
いきなり民事訴訟を提起することも可能ですが、解決まで長期間を要するため、まずは代理交渉を行うことで早期解決を目指します。

 

民事訴訟サポート

仮に、相手方が代理交渉でも預貯金の使い込みを認めない場合、当事務所の相続対策チームは、民事訴訟を提起して徹底的に戦います。

 

遺産分割協議書作成サポート

相手方が預貯金の使い込みを認めた場合、遺産分割協議書を作成し、トラブルを防止します。

 

 

料金プラン

ご相談の料金

相続に関する相談料:初回無料

料金プランについて、くわしくはこちらをご覧ください。

なお、預貯金の使い込みについては、こちらもごらんください。

 

 

 


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