遺留分減殺請求の対象や相手方とは?【相続弁護士が解説】

遺留分


弁護士

  • 遺留分減殺請求権を行使できる?
  • 遺産が複数あるときの遺留分減殺請求の対象は?
  • 遺留分減殺請求は誰に対して行使するの?

当事務所の相続対策チームには、このようなご相談がたくさん寄せられています。

遺留分減殺請求は、法的に難しい論点が多々あるので、専門家への相談をお勧めします。素人考えで不利な結果とならないために、当事務所の相続弁護士にご相談ください。

 

遺留分制度とは?

遺留分制度とは、遺産の一定割合を一定の相続人に保障する制度です。

本来、被相続人(亡くなった方)は、自分の財産を好きに処分できるはずです。
しかし、他方で、相続制度は、遺族の生活保障としても機能します。
そこで、民法は遺留分制度により、遺族を保護しているのです。

関連記事:遺留分減殺とは?(https://www.shoukei-law.jp/iryubun/

遺産が複数あるときの遺留分減殺請求の対象

具体例


被相続人の夫が死亡し、相続人は妻さん、子どもBさんとCさんのケースを例とします。夫には、遺産として、預貯金(1000万円)、自宅不動産(2000万円)、株式(1000万円)があったとします。そして、長女Cさんの遺留分が500万円侵害されていたとします。

例えば、夫が遺言書に「預貯金を長男Bさん、自宅不動産を妻、株式を2分の1ずつ妻と長男Bさんへ相続させる」旨記載していた場合、Cさんは個別的遺留分の割合が8分の1であることから、
遺留分侵害額は 500万円となります。

(1000万円+2000万円+1000万円)× 1/8 =500万円

この場合、長女Cさんが遺留分を行使するとどうなるでしょうか?

民法は、遺留分の減殺割合について、目的物の価額の割合に応じて減殺することを原則としています(1034条本文)。そのため、上記の例では、預貯金から125万円、自宅不動産から250万円、株式から125万円が減殺されることとなります。

問題点

仮に、夫が高齢の妻に、生活の本拠となる自宅だけは確実に相続させてやりたいと考えていた場合、問題が生じます。

せっかく妻に自宅を相続させても、遺留分減殺請求されると、妻は250万円、Cさんに支払わなければなりません。支払能力があればよいのですが、支払えない場合、自宅不動産を売却しなければならなくなるかもしれません。

このような場合、夫は、減殺の対象財産を指定することで、上記問題を回避できます。

例えば、次のような遺言です。

遺留分減殺請求の対象財産を指定する遺言

第◯条
遺言者は、遺留分の減殺は、預貯金からすべきものと定める。

民法は、遺言者が遺言に減殺の順序や減殺の割合を定めた場合、その意思が優先されると規定しています(1034条ただし書)。

したがって、減殺請求の相手方を指定することも可能です。

例えば、上記の例で、夫としては、妻にだけは確実に自分が指定した財産を残したいと考えているような場合、仮に長女Cが遺留分減殺請求した場合、まずは長男Bの財産から減殺すべきと指定することが可能です。

遺留分減殺請求の相手方を指定する遺言

第◯条
遺言者は、遺留分の減殺は、長男Bに相続させる財産からすべきものと定める。

上記の例で、夫が、妻に自宅だけは残したい、また、株式は重要ではない、と考えている場合、次のような指定も可能です。

相手方を対象とする財産の順序を指定する遺言

第◯条
遺言者は、遺留分の減殺は、まず妻Aに相続させる財産のうち株式、次いで長男Bに相続させる財産のうち株式からすべきものと定める。

上記の例で、夫が、相手方に応じて遺留分減殺の割合を指定することも可能です。

遺留分の減殺の割合を定める遺言

第◯条
遺言者は、長女Cから遺留分減殺請求があったときは、その対象となる財産の価額にかかわらず、各人の相続すべき財産に対する減殺の割合を次のとおり定める。
① 妻Aの相続すべき財産につき、遺留分侵害額の4分の1
② 長男Bの相続すべき財産につき、遺留分侵害額の4分の3

指定する際の注意点

遺留分減殺請求の順序は無制限ではありません。
民法は、「贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする」と規定しています(1035条)。
なお、「相続させる」旨の遺言は、遺贈と同順位とされています(東京高判平成12年3月8日)。

 

 

遺留分減殺請求の問題点

遺留分減殺請求には、以下のような問題点が考えられます。

権利について知らない

相続人(遺留分権利者)であるにもかかわらず、一定の割合が保障されていることを、そもそも知らない方がとても多いという問題です。また、遺留分と聞いたことがある方でも、具体的にどの程度の遺留分割合かを知らない方が多い状況です。

遺留分減殺請求権の行使をためらう

遺言者の意思を尊重し、遺留分減殺請求権を行使しないという方もいます。
確かに、遺言者の考えが正しい場合、それは一つの選択肢です。上記のように、自分よりも他の相続人に多めに遺産を相続させるのに納得できる理由があれば問題ありません。
しかし、遺言者が誤解していたり、他の相続人から騙されたりしたため、遺留分減殺請求権の行使を望まないというケースも多くあります。

相続人間の紛争

遺留分減殺請求権を行使すると、特をしていた相続人が感情的になり、相続人間の対立が激化する可能性があります。そのため解決まで長期間を要する可能性もあります。

権利行使期間が限定されている

カレンダー遺留分減殺請求権は、相続開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年以内に、遺留分を侵害している相手方に請求しなければ、その権利はなくなります(民法1042条)。また、相続開始のときから10年経過すると消滅します。

 

 


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