株式の贈与後、遺留分を請求されたら返還しなければダメ?

遺留分

女性父が亡くなり、父が経営していた会社の事業用の財産や株式を遺言によって贈与を受けましたが、他の相続人から遺留分として返還を請求されています。

財産や株式そのものを返還しなければならないのでしょうか?

掲載日:2016年7月13日|最終更新日:2019年6月4日

現物返還は不要です。

金銭での支払いとなります。

また、金銭をすぐに準備できない場合、裁判所へ請求することで返済のための期限を許与してもらえる可能性があります。

 

 

金銭での支払い

お金従来、遺留分を侵害した場合、現物を返還するのが原則で、価額での弁償は例外的でした。

これは、現物を分割することによって、経済的・社会的価値を著しく喪失する場合に現物での分割や返還を免れるためと説明されていました。

しかし、このような帰結は、円滑な事業承継を困難にしたり、共有関係の解消をめぐって新たな紛争を生じさせたりすることになるとの指摘がありました。

このような指摘を踏まえ、相続法が改正され、遺留分の請求による現物返還を廃止し、金銭債権を発生することとされました(民法1046条1項)。

裁判例すなわち、民法1046条1項は、「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。」と定めています。

したがって、受遺者又は受贈者は、遺留分を侵害したとしても、遺留分権者に対し、金銭を支払えば良いこととなりました。

また、金銭請求を受けた者が直ちに金銭を準備することができない場合も想定されます。

そこで、裁判所は、受遺者又は受贈者の請求によって、同人らが負担する金銭債務の全部又は一部の支払について、相当の期限を許与することができるという制度が設けられました(民法1047条5項)。

 

 

遺留分請求の目的物の価額の基準時

株金銭で支払う場合、預貯金とは異なり、株式や不動産などは、時価が上下します。

そこで、いつの時点を基準に価額を判断するかが問題となります。

この点については、現実に金銭を支払うときの目的物の価額が基準となり算定されると考えます。

訴訟の場合には、事実審の口頭弁論終結時ということになります。

したがって、特に価値が短期間で変動しやすいようなものについては、金銭支払いの時期を見極める必要があります。

本ケースのように、会社の問題と相続の問題が絡み合って問題となるケースは多くあります。

話し合いこのように単純な問題であればよいのですが、実際に起こる紛争はそう簡単にはいきません。

今後会社をどのようにしていくかという将来的なビジョンも踏まえ、慎重に財産の処分を決する必要があります。

そのような場合には、ぜひ一度法律のプロである弁護士に相談してみてください。

少しでも皆様の悩みを軽減できれば幸いです。

遺留分の計算式・請求方法等について、詳しくはこちらのページをご覧ください。

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