相続放棄の3つのデメリット【弁護士が解説】

相続放棄

掲載日:2016年8月18日|最終更新日:2019年9月2日

answer

相続放棄には3つの大きなデメリットがあります。

相続放棄の前にデメリットを必ず確認して、しっかりと対策を立てましょう。

  • 「相続放棄をすべきか迷っています・・・」
  • 「相続放棄で注意することはありますか?」
  • 「相続放棄で取るべき対策を教えて下さい」

デイライト法律事務所の相続対策チームには、このような相続放棄に関するご相談が多く寄せられています。

相続放棄のデメリットについて、弁護士が徹底解説いたしますので、ご参考にされてください。

相続放棄の前に

相続について悩むイメージイラスト相続が発生すると、相続人は、相続を承認するか、それとも放棄するか、法律上2つの選択を迫られます。

プラスの財産よりマイナスの財産が多いなどの事情がある場合には、相続放棄の選択肢をとることもしばしばです。

もっとも、相続放棄により発生する法律上の効果は、亡くなった人の借金を受け継がなくて済むというものだけではありません。

相続放棄しなければよかったと後悔しないためにも、その法律上の効果についてはあらかじめ正しく認識しておく必要があります。

 

 

相続放棄とは

お金相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の権利義務一切を放棄する制度です。

民法上、人が死亡したときには、相続人が相続開始のときから被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するものと定めています(民法896条)。

しかし、相続人の中には、遺産相続を希望しない人もいますので、そのような場合のために相続放棄という制度が用意されています。

相続放棄の制度について、くわしくはこちらのページもご覧ください。

 

 

相続放棄のデメリット

①相続放棄で親族が巻き込まれる可能性

相続には順位がありますので、ある者が相続放棄をすると、次の順位の者に相続の順番が回ることになります。

たとえば、夫が亡くなると、妻と子が相続人になったとします。

夫には1000万円の借金があり、めぼしい財産はありませんでした。

このとき、妻と子供は相続放棄によって、借金の返済を免れることができます。

そこで、妻と子が相続放棄を行ったとします。

これで、円満解決できれば問題ありません。

しかし、亡夫に両親がいる場合、妻と子の相続放棄によって、次に第2順位の相続人として両親が夫の借金を背負うことになるのです。

相続人の順位について、くわしくはこちらのページもご覧ください。

 

第2順位以降の相続人の相続放棄は可能?

両親としては、本来、法定相続権がないと思っていたのに、亡息子の妻子の相続放棄によって、突然借金の返済義務が生じることになってしまい、たまったものではありません。

弁護士このケースでは、両親も妻子の相続放棄を知ったら、両親も相続放棄をすべきです。

このような第2順位以降の相続人の相続放棄も可能です。

しかし、両親が続けて相続放棄をすると、今度は亡夫の兄弟姉妹(上記ケースでは姉)が相続を引き継ぎます。

姉も当然、弟の借金の返済などしたくないでしょう。

そのため、第3順位の相続人である兄弟姉妹も相続放棄を行うこととなります。

上記ケースでは、姉に子供(被相続人の姪)がいますが、姪や甥は相続人ではないので、これ以上の相続放棄は原則として不要です。

ただし、姉がすでに死亡していた場合は代襲相続しますので姪まで相続権が移り、相続放棄の検討が必要となります。

 

②相続放棄で不動産などプラスの財産を相続できない

相続放棄は、借金だけに限定して行うことができません。

被相続人がプラスの財産を残している場合には、そのプラスの財産を含めて相続放棄をしなければならなくなります。

弁護士例えば、上記ケースにおいて、被相続人(亡夫)が自宅不動産を持っていたとします。

相続放棄をすると、妻と子はこの自宅不動産に住み続けることができなくなってしまいます。

したがって相続放棄をする場合には、このプラスの財産を含めて放棄してよいか、慎重に判断する必要があります。

なお、どうしても相続したい財産がある場合、限定承認をするという選択肢をとることも考えられます。

限定承認について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

③相続放棄すると撤回ができない

相続放棄は、原則として撤回することができないと法律上定められています。

取消理由によっては、相続放棄の手続を取り消しが認められる場合もあります。詳しくはこちらをご覧ください。

弁護士したがって、相続放棄をした後に被相続人の財産が新たに見つかり、やはり相続放棄を取り消したいと思っても、これを覆すことはできません。

そのため、相続放棄をする前に、被相続人の財産を今一度確認し、見落としているものがないかどうか調べておく必要があります。

 

 

相続放棄の注意点

問題点①相続放棄は親族に通知はされない

女性相続放棄で注意が必要なのは、相続放棄を行っても、その事実は家裁から他の親族に通知されないということです。

すなわち、上記のケースで言うと、妻子が相続放棄をしても、その事実を両親が知らない場合があります。

その場合、ある日突然、両親のもとに、借金返済の督促状が届く可能性があります。

 

問題点②相続放棄は期限がある

相続放棄は、被相続人が死亡したことを知るなどして相続の開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をし、受理される必要があります。

これを「熟慮期間」といいます。

熟慮期間について、くわしくはこちらのページもご覧ください。

後順位者の相続放棄の期間

上記のように、先順位の妻子が相続放棄を行ってもその事実は家裁から連絡がないため、両親は自分たちに相続権があることを知らない場合があります。

夫がなくなってから3ヶ月以上が経過してから、借金返済の督促状が届いた場合、両親は相続放棄できないのかが問題となります。

ポイントのマークこのような先順位の相続人がいる場合の相続放棄の期間は、先順位者が相続放棄したことにより、自分が相続人となったのを知った時から3ヶ月です。

したがって、両親は、妻子が相続放棄をしたことを知らなかった場合、夫の死亡から3ヶ月以上が経過していても、相続放棄はできることとなります。

 

 

他の親族とのトラブル防止のための重要ポイント

上記のような問題点を踏まえて、トラブル回避のポイントを解説します。

POINT①相続人全員での相続放棄を検討

特に借金が多いために相続放棄を選択する場合は、後順位の相続人を含め、相続人全員で相続放棄をする必要があります。

いくら親族とはいえ、誰も借金を引き継ぐことを希望しないからです。

 

POINT②他の相続人に相続放棄を連絡

相談相続放棄を行う場合、被相続人の両親や兄弟姉妹には、そのことを連絡しておくことが望ましいと思われます。

上記のとおり、後順位者の相続放棄は被相続人死亡時から3ヶ月以上が経過していても可能と考えられますが、突然、借金返済の督促状などが届くと、不安に感じるはずです。

相続放棄を行った方への不信感などからトラブルに発展するおそれもあるので、事前に連絡してあげたほうがよいでしょう。

なお、当法律事務所では、ご依頼を受ければ、他の親族の方に対して相続放棄の影響等をご説明して不安を解消できるようサポートを行っています。

 

 

まとめ

以上、相続放棄の3つのデメリットについて解説しましたが、いかがだったでしょうか?

借金を引き継がなくて済むとの側面が注目されがちな相続放棄の手続ですが、決してプラスの面だけでなく大きなマイナスの側面も存在します。

多くの関係者に大きな影響をもたらす法律手続である以上、相続放棄を行うかどうかはあらゆる側面を理解したうえで慎重に行う必要があります。

当事務所の相続対策チームは、親身になって解決方法をご提案いたします。

当事務所のご相談の流れについてはこちらのページを御覧ください。

相続放棄のサポートについてはこちらのページもご覧ください。

 

 

関連Q&A

執筆者

[ 相続Q&A一覧に戻る ]


 

相続発生後のお悩み解決法



なぜ弁護士に相談すべき?