連載コラム① 第8回「先生はどっちの味方なんですか!」


六法全書と弁護士バッジ

13 法律と感情

予定通り、Eは相続分の放棄をして、L弁護士から寄与分を踏まえた以下の遺産分割案がV弁護士やM弁護士を通じて、GさんやDさんに伝えられた。

分割案の概要

遺産

不動産:1000万円
預貯金:1000万円

相続分

A、B、D、Gが各4分の1

寄与分

A 介 護:200万円
B 仕送り:300万円

特別受益

特になし

遺産分割案

A:375万円 + 寄与分200万円
B:375万円 + 寄与分300万円
D:375万円
G:375万円

この分割案の提示を踏まえて、M弁護士とD及びRは打ち合わせを行うこととした。

弁護士
L弁護士から提案された案については、ご意見いかがですか。
女性
別にい…
男性
(Dの話を遮って)先生! 寄与分とかなんとか訳の分からない理由で、AやBが300万とか200万多くもらえるってなんですか!? そんなのとおるわけないですよ。
弁護士
まぁまぁ、落ち着いてくださいRさん。寄与分というものは法律上定められており、L弁護士からの資料をみると、確かにBからお父さんへの振込が確認できますし、Aの家計簿も信用性はあると思いますから、裁判所でも、少なからず、寄与分が認められると言ってよいと思います。
男性
先生はどっちの味方なんですか!
弁護士
もちろん、Dさんの味方ですよ。ただ、Dさんのことを考えればこそ、今後裁判所を用いた手続きでの見通しはしっかりとお伝えしておきたいのです。お金と時間をかけて裁判所で争っても認められないのでは、意味がないと思いますよ。それに、うそをついているのであれば別ですが、仕送りや介護の事実がある以上、それを考慮することは不当ではないと思いますよ。私はDさんの味方でDさんの権利を守るために活動しますので、不当なことには徹底的に争いますが、正当な主張はある程度考慮せざるを得ないと思っています。今回であれば、寄与分についてそれぞれ100万円減額程度で認めてもいいのではないかと思います。つまり、Aが100万円、Bが200万円ですね。いかがでしょうか。
男性
先生のおっしゃることはわかりますが… やっぱり納得できないです。
弁護士
Dさんはどうですか。
女性
私は、寄与分を認めていいと思います。むしろお父さんを面倒見てくれたので、AさんやBさんには感謝しているくらいです。通知にその旨を書いていただいてもいいと思っています。
男性
(少し黙っていて)…そんな風に考えていたのか… 私だけが突っ走ってしまって申し訳ないです。
弁護士
こちらの提示する条件はまとまりそうですね。
女性
先生、よろしくお願いいたします。
男性
…よろしくお願いいたします。

Dからの提案は以下のとおりとなり、L弁護士に伝えられた。

この案に対して、AやBは少し不満なところはあったものの、Dから謝意が示されていたことや、早期に解決できることなどを勘案して、応じることにした。

そして、Gも特に異論はなかったため、下記の案で遺産分割協議がまとまる形で決着がついた。

遺産分割案

A:425万円 + 寄与分100万円
B:425万円 + 寄与分200万円
D:425万円
G:425万円

 

 

 

付録コラム 「弁護士はスタンスで選べ」

弁護士バッジ相続では、法律上の問題よりも、感情的な問題によって、問題が複雑化し、協議がまとまらなくなっていることがしばしばあります。また、今回のDさんのように、実際の相続人ではなく、相続人のご主人や父母などが意見を述べ、それが相続を複雑にしていることもあります。

そのため当事務所では、闇雲に争っていくのではなく、感情的な対立に配慮しつつも、依頼者の不満点について法律的にどうなるのかをしっかりと説明することを心がけており、クライアントの真のニーズがどこにあるのかを見定め、それに応じた解決案を提示しています。

相続対策チーム一方、弁護士の中には、「徹底的に争う」という方もおり、そういった弁護士を望むクライアントがいるのも事実です。

しかし、前述のとおり、私たちは無用な争点を排除し、早期解決を目指すことを第一としており、それがクライアントにとって一番良い事だと考えております。もっとも、相手が法的に不当なことを言っている場合には、徹底的に争う必要があり、私たちも最後まで全力で戦っていきます。

また、時には、相手方に感謝の意を示すことも大事だと考えています。お互いが罵り合うだけでは、対立が深まるだけで、何も生まれません。

例えば、今回の話のように、介護をしてくれたり、世話をしてくれたことにしっかりと謝意を示すことで、解決の糸口が見つかることもあります。

弁護士は誰に頼んでも同じだと思われるかもしれません。

ロゴしかし、知識面でもその分野に特化しているかで違いますし、何よりそれぞれの解決に向けたスタンスが全く異なると言ってよいと思います。

数名の弁護士に相談をする方も少なくないかと思いますが、弁護士を選ぶ際には、最終的な解決に向けたスタンスを見るのが重要です。

 

 

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