連載コラム① 第6回「相続人の1人が亡くなった?!」


11 相続人ではない人が遺産分割?

「Cさんが、亡くなったようです。」

4月のはじめ、桜が満開の時期に、年の初めに聞いたような内容を、今度は病院からではなく弁護士事務所から連絡があった。

連絡を受けたA及びBは、すぐにL弁護士のもとに向かった。

弁護士
電話でお話しした通り、Cさんが亡くなったそうです。前回の打ち合わせから間もないですが、相続人の1人が亡くなったことで今後の進め方が変わってきます。
男性
Cさんが亡くなったのですね。Gさんからどのように連絡があったのでしょうか。
弁護士
Cさんはもともと身体は弱く、心筋梗塞でお亡くなりになったようです。配偶者もお子さんもいないので、現段階ではご兄弟が相続人となる予定です。ただ、遺言書があるそうで、Gさんも中身は見たことがないので、検認の手続きをしますとのことでした。もっとも、Cさんは生前からGさんに対して「おれが死んだときは、すべてお前に任せるから、苦労はさせないから」と言っていたそうです。そのため、遺言書の内容も、Gさんにすべての財産を渡す内容となっているのではないかと思います。
男性
そうすると、父の相続については、どうなるのですか。
弁護士
仮に、遺言書がない場合には、兄弟姉妹が相続人となりますので、A、B、D、Eが相続人となります。もっとも、片親をともにする兄弟については、両親を共にする兄弟姉妹と比べて、相続分が2分の1となります。つまり、お父様からCさんへの相続分も、その割合で分けることになります。ちょっとわかりずらいので、紙に書いて説明しましょうか。

 

【Zが亡くなったことによる相続】

子どものみなので、相続分は均等です。

A、B、C、D、及びE = 5分の1ずつ

【Cが亡くなったことによる相続】

弁護士兄弟姉妹のうち、片親を共にする兄弟姉妹は両親の兄弟姉妹の2分の1

A、B = 6分の1ずつ
D、E = 3分の1ずつ

【Cが亡くなったことを踏まえたZの相続】

A、B= 5分の1+30分の1(6分の1×5分の1) = 30分の7ずつ
D、E= 5分の1+15分の1(3分の1×5分の1) = 30分の8ずつ

 

男性
なんとなくわかりました。最終的に私たちが得られるものは増えそうなので、良かったです。
弁護士
いえ、遺言書にすべての財産をGに渡す旨の記載がある場合には、AさんやBさんはCさんの相続はしないですから、増えませんよ。イメージとしては、GさんがCさんの代わりに遺産分割協議に加わるような形です。
女性
え! 親族でもないGさんが遺産分割協議に入ることがあり得るのですか。
弁護士
はい。Cさんが遺言書でGさんにすべての財産を渡すと書いていた場合には、Zの相続の相続分もGさんに移転することになるので、Gさんも相続人と同じ扱いになります。
男性
そうなんですか… あ、でも、相続人には最低限もらえる分があるから、全ての財産を渡すという遺言書は無効じゃないですか?
弁護士
遺留分のことですね。結論から申し上げると、全ての財産を渡すと書いていても遺言書は有効ですし、そもそも、兄弟姉妹には遺留分はありません。
男性
遺留分というのですか… 遺言書は厳格な様式なのに、法律違反でも有効なんですね… 兄弟姉妹に遺留分がないというのも驚きです。
弁護士
仮に遺留分があったとしても法律違反ではないですよ。遺留分というのは、請求しなければ認められない権利なので、遺言書は有効である前提で、その遺言書の一部の効力を失わせるということになるのです。兄弟姉妹に遺留分がないというのは、民法でそう決められていますので、納得できない面はあるかもしれませんが、甘受せざるをえません。遺言書の内容が判明するのを待ちましょう。
男性
はい。わかりました。Gから連絡がありましたら、おしえてください。よろしくお願いいたします。

Cの遺言書が家庭裁判所で開封された。LやMは遠方だったため、検認の期日には行っていないが、その後コピーをもらって確認した。

その内容は、L弁護士の想像通り、下記のようなものだった。

 

遺言書

 

私は、妻のGにすべての財産を相続させます。

 

妻のGには、私が死んだ後も長く生きてほしいです。

 

平成23年4月5日         C     ㊞

 

そして、Gは、相談をしていたV弁護士に、Zの遺産分割協議の依頼をした。

 

解説&ポイント

ポイント本文のように、亡くなった方の相続人が亡くなって複数の相続が重なった場合のことを数次相続と呼んだりします。数次相続になると、相続ごとに相続人が増えることになり、相続分の計算が細かくなったり、事案が複雑化して、解決までの期間が長くなる傾向にあります。そのため、相続でも、早期に解決することが必要になってくるのです。

また、遺留分についても、相続にあたっては問題となりやすいところです。遺留分とは、法定相続人が最低限もらえる分のことで、遺言で「〇〇にすべての財産を渡す」と書いてあったとしても、遺留分はもらうことができます。しかし、遺留分は「相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間」以内に権利行使する必要があり、内容証明郵便で請求したことをしっかりと残しておくなどしておくべきでしょう。

遺留分は、配偶者や子ども、直系尊属(父母や祖父母のこと)には認められていますが、兄弟姉妹には認められていません。なぜ兄弟姉妹に遺留分が認められていないのかについては、色々な説明がされていますが、結局民法に定められている以上、遺留分がないという結論は変わりません。そのため、法定相続人である兄弟姉妹は、遺言がある場合には何ももらえないという可能性もあるのです。

 

 

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