遺留分以上の遺産を獲得できたYさんの事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
状況
被相続人 | 90歳くらいで死亡(女性Aさん) 遺産:不動産及び預貯金1500万円弱 |
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相続人 | Tさん、Yさん |
相談者 | Yさん |
相談の経過
Yさんは、母親が死亡し、他の相続人と遺産分割をしようとしたところ、他の相続人であるTさんから母親の遺言の提示を受け、母親がTさんにすべての財産を相続させるという遺言を書いていたことを知らされました。
しかし、Yさんが住んでいる家は、母親名義であったため、その家まで取られることになってしまいかねないと思いました。
また、Tさんは財産を開示してくれず、その点でもこのまま遺言に従っていいのだろうかということを疑問に思いました。
そこで、困ったYさんは、今後のことについて、弁護士に相談しました。
弁護士の関わり
Yさんから相談を受けた弁護士は、遺留分を前提に遺産分割協議をすることをすすめました。
遺留分減殺請求では、柔軟に解決することは困難ですし、遺留分以上の取得をすることが難しくなります。
そのため、少しでもYさんの有利になるように、遺産分割協議をTさんに提示することにしました。
弁護士からTさんに受任を知らせたところ、Tさんにも弁護士が就きました。
その後は、弁護士同士での話し合いとなり、財産も開示してもらえることになり、すべての財産の開示を受けることができました。
また、不動産の取得を目標にしていたため、不動産の価値は固定資産評価額に依拠することで交渉していき、Tさんの代理人もそれで納得していました。
なお、相続の場合の不動産は時価評価を基準とすることが原則であり、時価評価の場合には、固定資産評価額よりも 1.5倍の価格になってしまうため、Yさんにとっては不利な状況となってしまう可能性がありましたが、弁護士同士の交渉により、その点は固定資産評価額を前提とすることができました。
しかし、固定資産評価額での計算でも不動産の価値は遺留分の3倍程度あったため、交渉は難航しました。
そこで、YさんからTさんへ介護の感謝の気持ちを伝え、こちらの現状を伝えるようにしたところ、そのことにより感情的な対立が緩和し、不動産を取得する代わりに代償金として金銭を支払うことで解決することができました。
最終的にYさんが得ることができた不動産の時価額からすれば、遺留分よりも1000万円近く多く取得することができたことになります。
補足
相続に当たっては、相続人や受遺者間で紛争になり、話し合いにならないことがしばしばありますが、弁護士が間に入ることで相手方の納得を得やすくなったり、相手方も弁護士を付けることで話し合いがスムースに進んでいくことがよくあります。
今回のケースは、その典型例であり、相手に弁護士が就いたことにより、スムースに話し合いが進んだ例と言えます。
不動産の評価や、交渉の方法など、最終目標や相手に合わせた弁護士の活動が必要になります。
今回のケースは、弁護士を就けることで、当初は難しいと思われていた不動産の取得ができた事案でした。
また、財産も開示してもらうことができ、納得も得られた事案でした。
遺留分や相続分といっても、資産の評価額や話し合いによって変えることができますので、最後まで諦めないで弁護士に相談するべきということを示すケースといえます。
解決事例一覧
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