認知症の人が有効に遺言書を書くことができますか?



悩む弁護士のイメージイラストそのケースごとに具体的に判断されるため、一概には答えを出せません。

遺言者が有効な遺言をするには、遺言の際に、遺言内容及びその法律効果を理解判断するのに必要な能力を備えることが必要とされています。これを遺言能力といいます。

遺言能力の有無の判断については、遺言者の理解判断が必要とされる個々の遺言内容が様々でありうることから、一義的に明確な基準を導き出せるものではありません。したがって様々な判断要素による個別の事案ごとの検討が求められます。

認知症をはじめとして、脳梗塞や統合失調症の場合にも、それらについて医師の診断があるというだけでは直ちに遺言書が無効と判断されることはなく、その程度や遺言書の内容との関係で、遺言者がその内容及び法律効果を理解できるかどうかが慎重に検討されなければなりません。

これまでの裁判例からすると、以下のような要素が考慮されているようです。

① 年齢

年齢だけでは遺言能力を決することはできませんが、加齢に伴い人間の認知能力・判断能力は一般的に徐々に低下してくるものですから、遺言作成当時の年齢は判断要素の一つとなっています。

② 病状

判断能力の低下をもたらしうる認知症や脳梗塞、統合失調症というような病気の発症から病状の推移などを詳細に認定した上で、判断要素とします。病気を発症してから遺言を作成するまでの期間についても、この要素の中に含まれます。
肝心なのは、遺言能力の有無を判断する基準時は、遺言作成時ですので、病気にかかっているからといって、直ちに遺言能力が否定されるわけではなく、遺言作成時の遺言者の状態がどうであったかが問題にされなければなりません。
その上で、遺言前後の生活状況や遺言作成に至る経緯、遺言の内容など他の判断要素と併せて、遺言能力が判断されます。

③ 主治医の診断

病院のイメージイラスト主治医の所見や診断は、重要視される要素です。
すなわち、主治医が、遺言作成当時遺言者が判断能力を有していたとの所見をおっていたことを根拠として遺言を有効とする裁判例は多くあります。
他方、遺言書作成の約1年4ヶ月前に医師が「老人性痴呆」という判断を下していたり、遺言書作成の約5ヶ月前に医師が高度の「痴呆」が認められると判断した事案では、いずれも遺言能力が否定されています。また、遺言書の主治医が、公証人から遺言ができる状況にある旨の診断書の作成を依頼されたことに対し、遺言者が遺言をできる状況にないと考え、この依頼を断ったという事情を認定して遺言能力を否定している事案もあります。

解説する男性のイメージイラストしたがって、後々の争いを防ぐためにも、遺言者が遺言能力を有していることを確認し、慎重に遺言書を作成しなければなりません。

遺言者が何らかの病気に罹患している場合には、主治医との連携も必要となってきます。そこで、遺言書を作成する場合にはぜひ一度弁護士に相談されることをオススメします。デイライト法律事務所では遺言書作成に詳しい弁護士があなたの遺言書作成をサポートいたします。

 

 

「遺言書」についてよくある相談Q&A