吉日と書いてあり、指印が押されている遺言書は有効ですか?



書類のイメージイラスト先日、母が亡くなったのですが、自筆で書いた遺言が見つかりました。

その遺言には、私に対して不動産を相続させること、私に対する生前贈与の持戻免除の意思表示、私にお墓を守ってほしいことなどが書いてありました。

しかし、遺言書の日付は、〇年〇月吉日とあり、印も指印が押されているだけでした。

この遺言は有効なのでしょうか?

弁護士竹下龍之介画像書いた日付が分からない遺言は無効となりますので、吉日と書いてある場合には、無効となる可能性があります。もっとも、遺言が書いた日が遺言の中身などからわかるのであれば、無効にはされない場合もあります。

また、印については、指印でもいいとされていますので、その点で無効となることはありません。

相続問題に詳しい弁護士が解説いたします。

 

今回のご相談の場合

遺言書のイメージイラスト仮に遺言が無効だとしても、すべての内容に意味がなくなるわけではありません。
言という方式でしか認められていないものだけが無効とされるにすぎないのです。

そのため、遺言が無効とされる場合には、「不動産を相続させる」部分については、無効になります。

持戻免除の意思表示やお墓などの祭祀承継者の指定については、方式が決まっているわけではないので、有効なものとして扱われる可能性が高いですが、意思能力がないという理由で遺言が無効とされる場合には、持戻免除の意思表示なども無効とされてしまうでしょう。

 

遺言書の日付について

月日のイメージイラスト遺言書には日付が必要とされています。

なぜなら、遺言能力の判断や遺言書の作成の先後の判断などのために、重要であり、年月日まで特定できなければならないからです。

そのため、特定の日が分かる記載でないと方式不備として無効となります。

吉日と書いてあるだけでは、方式不備で無効というのが判例ですが、吉日と書いてあったとしても、遺言の内容から日付が特定できる場合には、有効なものと考えられます。

 

遺言書の指印について

公的書類のイメージイラスト自筆証書遺言の方式として、押印を必要とする趣旨については、裁判例で以下のようにとされています。

最高裁 平成元年2月16日判決

「遺言の全文等の自書とあいまって遺言者の同一性及び真意を確保するとともに、重要な文書については作成者が署名した上その名下に押印することによって文書の作成を完結させるという我が国の慣行ないし法意識に照らして文書の完成を担保することにある」

そして、印鑑による押印だけではなく、指印でもこの趣旨は満たすとされていますので、指印でも遺言は有効に成立します。

 

遺言として方式不備がある場合

解説する男性のイメージイラスト仮に遺言が方式不備や意思能力がなかったとして無効となったとしても、それは遺言という方式でしかできない事項について無効となるにすぎません。
つまり、遺言としては無効でも、書面としては意味がある場合があります。

例えば、特別受益の持戻免除をするという意思表示や、お墓などの祭祀承継者の指定については、方式に決まりはなく、口頭でも良いとされているので、遺言が無効だからといってこれらの事項も当然に無効となるわけではありません。

つまり、単なる日付が書いていないことや押印がされていないといった程度の方式不備の場合には、遺言としては無効ですが、特別受益の持戻免除の意思表示や祭祀承継者の指定としては有効とされることがほとんどです。

もっとも、遺言が無効とされる理由が遺言者の意思能力がないという場合、特別受益の持戻免除の意思表示や祭祀承継者の指定についても意思能力がないということになり、無効とされることになるでしょう。

 

書を書くイメージ画像遺言は死者が最後に残すものであり、なるべく有効に解するというのが裁判所の立場ですが、方式不備などにより無効とされることも少なくありません。

最後に残す遺言が無効では、遺言を残した身としても報われませんので、遺言を作成する際には一度専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。

当事務所では、その人に合った遺言を作成するため、相続に特化した弁護士が対応しますので、一度ご相談ください。

弁護士へのご相談はこちら「相談の流れ」からどうぞ。
遺言書について、こちら「遺言書の種類と書き方」も合わせてごらんください。
 

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