第三者に移転されてしまった不動産は遺留分減殺請求できますか?



悩む男性のイメージイラスト父が死亡しました。
財産を調査したところ、父の唯一の遺産である自宅を兄(Aさん)に生前贈与していたことが分かりました。

兄に対して遺留分減殺請求をしようとしたところ、すでに第三者(Bさん)に自宅を売却してしまっていました。
私(Xさん)は誰に遺留分減殺請求をしたら良いのでしょうか?

また、遺留分減殺請求をしたのちに、自宅を勝手に第三者(Bさん)に売却された場合には、どうなるのでしょうか?

不動産の遺留分減殺請求の説明図1弁護士が回答いたします。

Bさんへ売却された場合には、Aさんに対して自宅のうち、遺留分の価額の弁償を求めることになります。
もっとも、Bさんが売却時に遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは、遺留分権利者はBさんに対しても減殺を請求できるとされています。

解説するイメージイラストまた、遺留分減殺請求をした後で第三者Bさんに自宅を売却された場合には、請求時に自宅がXさんとAさんと共有関係になりますが、その共有関係は、登記するまで第三者には対抗できませんので、登記を得ないとBさんに共有持分権を主張できないことになります。

つまり、第三者BさんとXさんの勝ち負けは、自宅の登記をどちらが先に取得するかによって決定されることになるのです。

 

遺留分減殺請求をする前に、自宅が第三者に譲渡された場合

裁判例のイメージイラスト民法では、「減殺を受けるべき受贈者(Aさん)が贈与の目的を他人(Bさん)に譲り渡したときは、遺留分権利者(Xさん)にその価額を弁償しなければならない。」と規定されています。

そのため、Xさんは、Aさんに対して、自宅のうち、遺留分の価額分の金銭を支払えということができることになります。

もっとも、贈与から時間が経過している場合には、Aさんにはお金がないという場合もあるでしょうから、その場合には、第三者であるBさんに遺留分減殺請求をしたいと考えるかもしれません。
しかし、民法では、Bさんに対しては、請求できる場合を「譲受人(Bさん)が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていたとき」に限定しています。

不動産の遺留分減殺請求の説明図2これは、取引の安全を重視し、基本的にはAさんとXさんの間で清算させることにしたということです。

その一方で、遺留分侵害を知っていた場合にまでBさんを保護する必要はないだろうという考慮も働いているということになります。

 

遺留分減殺請求をした後に第三者に売却されてしまった場合

手続のイメージイラスト遺留分減殺請求をした時点でXさんとAさんは自宅を共有する関係になり、Xさんは自宅の共有持分権を得ることができるのですが、共有関係自体は他の人からはわかりません。
そのため、所有権移転登記をするまでは、第三者には自分が所有者であることを対抗できない(主張できない)ことになります。
つまり、Xさんは、第三者Bさんより先に、自宅の所有権移転登記を得なければならないのです。

もしBさんが先に自宅の所有権移転登記を得た場合には、Bさんが遺留分権侵害を知っていたとしても、Bさんには請求できなくなります(ただし、事案によってはBさんが背信的悪意者とされ、請求できる可能性もあります)。

なお、一度遺留分減殺請求をした場合には、その時点で請求の効力は発生するので、Bさんに対して改めて遺留分減殺請求することはできません。

弁護士宮﨑晃の画像以上では、Aさんへの生前贈与が遺留分侵害にあたることを前提としましたが、実際の事案では遺留分の対象となる行為の見極めや、計算などの法的な問題が多くあります。
遺留分減殺請求は、弁護士でも難しい分野ですが、当事務所では家事事件チームを組んで対応していますので、ぜひ一度ご相談ください。

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「遺留分」についてよくある相談Q&A