生命保険は遺留分減殺請求の対象になりますか?



悩む老人女性のイラスト配偶者(Aさん)が亡くなったのですが、前妻の子であるBさんを生命保険の受取人としていました。

また、私を受取人としていた生命保険も姪のCさんを受取人として変更していたようです。

これらの生命保険金は、遺留分を算定する際に考慮されないのでしょうか?

弁護士勝木萌画像当事務所の相続専門の弁護士が回答いたします。

Bさんの受け取る生命保険金も、Cさんの受け取る生命保険金も、基本的には遺留分算定にあたり考慮されることはありません。

もっとも、特段の事情が認められる場合には、考慮されることがありうるかもしれません。

 

生命保険金は遺留分算定の基礎財産になる?

悩む女性のイラスト遺留分算定の基礎財産となるのは、遺産の他、Aさん死亡の1年以内になされた贈与や特別受益などの限られた財産です。
そして、生命保険金は被相続人から受取人への贈与というわけではなく、受取人の固有の権利であるとされています。
そのため、生命保険金は相続財産にも含まれないと解されていますし、基本的には特別受益にも該当しないとされています。

裁判などのイメージイラストただし、生命保険金も「特段の事情」がある場合には特別受益に準じるというのが判例ですので、遺留分算定の基礎財産にも持ち戻す余地があるかもしれません。
どのような場合に「特段の事情」があるといえるかですが、判例は以下のように述べています。

「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合」

 

大金のイメージ画像要は、財産のほとんどを生命保険に注ぎ込み、複数いる相続人のうち1人の相続人がその保険金を受け取ったような場合などが典型で、遺産の総額に対する比率は大きな指標となるものです。

相続財産と同額の生命保険金を受け取っているような場合には、特段の事情ありとされる可能性が非常に高いです。

また、相続財産の6割の額に相当する生命保険金を受け取った事案について、「特段の事情」ありとした裁判例があり、参考になるでしょう。

ただし、判例は「同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきである」としており、遺産の総額に対する比率以外にもさまざまな要素を総合的に考慮して判断することになります。

 

生命保険金の受取人を変更した場合は?

解説する女性のイメージイラスト受取人を変更しても贈与や遺贈には当たらないとされ、受取人の固有の権利として生命保険金を受け取ることになるので、遺留分算定の際に基礎財産とはされません。

受取人が相続人である場合には、1で述べたように特別受益に準じた扱いをする可能性はあります。
ただし、今回の事例では、受取人として変更されたのが姪のCさんなので、相続人ではないため、特別受益に準じた扱いをする余地はありません。

遺留分減殺請求は、特別受益などの問題もからみ、複雑で難しい法律問題です。
当事務所では、家事事件チームを設けて、相続分野の難しい問題にも対応できる体制を整えていますので、まずは一度弁護士へご相談ください。

弁護士へのご相談はこちら「相談の流れ」からどうぞ。

 

 

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