法定相続人がいない人が亡くなった場合、いとこが財産をもらう方法はありますか?



悩む老人男性のイラスト先日、いとこのAさんが亡くなりました。
Aさんには法定相続人がいませんし、遺言などもありませんでした。

私(Xさん)はAさんの成年後見人となって老後の面倒を見ていました。
具体的には、老人ホームの入所の際に身元引受人となった上、Aさんの死後は葬儀の主宰もしました。
この場合でも私はAさんの財産をもらえないのでしょうか?

また、もう一人のいとこであるYさんも、たびたび旅行に行ったり、悩み事を相談したりしたりとAさんとは仲良くしていました。
AさんもYさんを本当のお兄さんのようにとても頼りにしていました。
Yさんに関しても、財産をもらえないのでしょうか?

いとこの相続の解説イラスト

いとこには相続権はありませんので、原則としていとこであるXさんやYさんはAさんから財産を承継することはできないということになります。

この場合に死んだ人の財産はどこに行くのかと思われるかもしれませんが、国の物になるという規定が民法上存在するので、Aさんの財産は国の物になってしまいます。

ただし、いとこであっても、「特別縁故者」にあたる可能性はあります。

本件では、XさんはAさんの成年後見人として老後の世話をしており、身元引受をしているなど、その事情が証明できれば特別縁故者と認定される可能性は十分にあります。

Yさんは、特別縁故者となる可能性は十分にありますが、その証明が難しいと思われます。

 

特別縁故者とは

解説する男性のイメージイラスト特別縁故者とは、以下の3つのいずれかに当てはまる方をいいます。

⑴ 被相続人(本件ではAさん)と生計を同じくしていた者

老夫婦のイメージ画像まず、死んだAさんと生計を同じくしていた者が、特別縁故者とされます。

典型例は内縁の配偶者や事実上の養子などです。

Aさんと一緒に住んでいて、家族のように暮らしていたとすれば、特別縁故者と認められる可能性は高いと言えます。

くわしくはこちら「内縁の妻は相続できますか?」をご覧ください。

 

⑵ 被相続人の療養看護に努めた者

療養看護に努めた者も特別縁故者となりますが、上記の生計を同じくしていたと被ることがしばしばです。

ただ、生計を同じくしていなくても、療養看護に努めた場合には特別縁故者として認められる可能性があるということです。

また、対価を得て療養看護をしていた家政婦や看護師なども、その看護の度合いによっては、特別縁故者として認められる可能性があります。

⑶ その他特別の縁故があった者

公証人のイメージイラスト上記2つと異なり、抽象的包括的なのが、その他特別の縁故があった者という類型です。

特別の縁故があった者が特別縁故者だというのですから、それ自体に意味はないのですが、裁判例では、この類型にあたるのは、以下のような人だと言っています。

 大阪高決 昭和46年5月18日

「(上記)2つの場合に該当する者に準ずる程度に被相続人との間に具体的且つ現実的な精神的・物質的に密接な交渉のあった者で、相続財産をその者に分与することが被相続人の意思に合致するであろうとみられる程度に特別の関係にあった者をいう」

 

つまり、被相続人であるAさんがこの人に財産をあげることを望んでいたであろう人を特別縁故者とするということですから、その判断はかなり難しいと言えます。

 

XさんとYさんはAさんの特別縁故者と認めてもらえる?

解説する男性のイメージイラストXさんは、Aさんと生計を同じくはしていませんが、Aさんの療養看護を行っており、特別縁故者として認められる可能性が高いでしょう。

Yさんは、Aさんと生計を同じくしていないだけではなく、療養看護もしていません。

しかし、AさんにとってもYさんは頼れる存在であり、精神的な支えになっていたと思われますので、特別縁故者と認定される可能性は十分にあります。

もっとも、その証明はなかなか難しいかもしれません。

 

特別縁故者であることの証明

写真を撮る男性のイラスト特別縁故者であることを証明するにあたっては、通常の付き合いを超えた程度のものが必要とされ、その証明のために証拠を提出しなければなりません。

ただ、証拠としてXさんやYさんの陳述書があるだけでは裁判所も特別縁故者と認めてくれる可能性は低いでしょう。

最近の裁判例でも、写真や手紙といった客観的証拠がないとして、特別縁故者として認めなかったものがあります(東京高決平成27年2月27日)。

Yさんの場合には、一緒に旅行に行った際に撮った写真や、日ごろからの交流をうかがわせるような手紙やメールなどを証拠として提出する必要があるでしょう。

解説する男性のイメージイラスト特別縁故者と認められるためには、どのような場合に認められるかという分析をし、その証明のために何が必要かという判断をしなければなりません。

専門的な判断が必要となりますので、一度弁護士に相談されることをおすすめします。

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