寄与分の主張を封じる方法はありますか?



事案

介護のイメージイラスト私は、長年母と同居し、介護が必要な母の身の回り全般の世話を引き受けてきました。
私には兄と姉がいますが、いずれも他県に住んでおり、母の介護にはほとんど協力してもらっていません。
この母が先日亡くなり、母の遺産すべての分配方法について詳しく書かれた遺言が見つかりました。
遺言によると、兄弟でほぼ同等に遺産を相続することになります。
しかし私としては、母の介護を長期間一人で担当してきたのですから、遺言に書いてある取得分以外にも、寄与分を主張したいと思っています。
この状況で、私は寄与分を主張できるでしょうか。

 

解説する男性のイメージイラスト被相続人が遺言で、すべての財産についての分配方法を定めている場合、相続人による寄与分の主張を封じられてしまいます。

寄与分とは、相続にあたり、相続人のなかに相続財産の維持や増加に寄与した者がいた場合、共同相続人間の実質的衡平を図るため、法定相続分とは別に、相続財産の一定割合又は金額を相続財産から控除して受け取ることができる制度のことを言います。

寄与分が認められる相続人の行為としては、
①被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付
②被相続人の療養監護
③その他の方法
のいずれかに該当することが必要となります。

そして、寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から「遺贈の価額」を控除した残額を超えることはできない、と民法で定められています。

したがって、財産の価額から遺贈の価額を差し引いた残りがゼロであれば、相続人は寄与分の主張ができなくなるのです。

もし被相続人が相続人による寄与分の主張を防ぎたいと考えた場合、遺言において、被相続人が思いつくすべての財産についてその分割方法を指定します。記載された財産以外にも他の財産が残っている可能性がありますので、その他一切の財産についても誰に分配するのかを、包括した規定を最後に設けることが大切です。

解説する男性のイメージイラスト今回のケースにおいて、遺言により遺産のすべてについてその分配方法が書かれているのであれば、寄与分の主張はできなくなってしまいます。

寄与分の制度は、共同相続人間の実質的公平を図るために設けられた制度ですが、このように遺言の内容次第では、その主張が封じられてしまうこともあります。

寄与分に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、相続専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

 

「寄与分」についてよくある相談Q&A