死亡した人の身の回りの品を処分した後でも相続放棄できますか?



お金と悩む女性親が亡くなり、親の身の回りの物で要らないものを捨てたり、形見分けをして処分整理をしました。

しかし、その後に、親には多額の借金があることが分かりました。

相続放棄はできるのでしょうか?

 

弁護士竹下龍之介画像身の回りの品物を整理しただけでは、相続放棄ができなくなることはありません。

仮に、被相続人の身の回りの品物を形見分けなどして処分したとしても、それほど価値の高くないものを一般的に認められる範囲で処分した場合には、相続放棄できなくなるようなことはありません。
相続問題に詳しい弁護士が解説いたします。

 

 

相続放棄できない場合

 

相談する女性のイラスト相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内であればできると民法上規定されていますが、単純承認をした場合には、相続放棄ができなくなります。

単純承認は、相続放棄や限定承認と異なり、法律上、方式の定めがないので、家庭裁判所に申述を申し立てる等の手続きは不要とされています。

 

 

法定単純承認

 

単純承認には、法定単純承認といわれるものがあり、以下のことをすると法律上、単純承認をしたとみなされることになります。

 

① 相続財産の処分をしたとき
② 相続放棄できる期間に相続放棄をしなかったとき
③ 限定承認・放棄後の背信的行為

 

②は最も多い事由であり、相続放棄をするつもりのない多くの人が②によって法定単純承認をしているといえます。

 

 

相続財産の処分をしたときの解釈

解説する男性のイメージイラスト

 

被相続人の身の回り品を処分整理することは、被相続人が死亡した際に当たり前のようになされていることで、これが法定単純承認となると考えることは妥当ではありません。

 

大阪高決昭和54年3月22日

裁判例のイメージイラスト「やむなく殆ど経済的価値のない財布などの雑品を引取り、なおその際被相続人の所持金 2万 432円の引渡しを受けたけれども、右のような些少の金品を持って相続財産とは社会通念上認めることができない。」と判示しており、金銭を含めて、一般的に認められる身の回りの品の整理をした程度では、法定単純承認とはならないことを明らかにしています。

 

そのため、身の回りの品の処分整理についても、特に高価なものでない限り、その処分をしても相続放棄ができなくなるものではありません。

形見分けについても、裁判例があります。

 

山口地徳島支判昭和40年5月13日

「僅かに形見の趣旨で背広上下、冬オーバー、スプリングコートと訴外〇〇の位牌を別けてもらった」行為について、法定単純承認には該当しないと判示しています

 

 

弁護士にご相談ください

 

老人女性裁判所は、被相続人の死亡後、一般的に許容される範囲で行われた行為については、法定単純承認とはならないとする立場のように思われます。

このことは、形見分けを含め身の回りの品を整理することはもとより、葬儀費用を相続財産から支出することも法定単純承認にあたるものではないとしていることからも分かります。

葬儀費用と法定単純承認についてはこちら(Q&A「遺産から葬儀費用を支払った場合も相続放棄できますか?」)をご覧ください。

面談もっとも、形見分けの範囲を逸脱したものについては法定単純承認と判断されるリスクがあるため、注意が必要です。

法定単純承認については、専門的に扱っていないと難しい判断ですから、一度弁護士に相談されることをおすすめします。

当事務所では、相続に特化した弁護士が相談に応じますので、一度気軽にご相談ください。

 

 

「相続放棄」についてよくある相談Q&A