親族外へ事業承継しやすくなりました。


◇遺留分特例制度の対象の拡充◇

裁判所のイメージ画像平成28年4月1日に、承継円滑化法が施行され、遺留分特例制度の対象が親族外へ拡充されました。

遺留分特例制度とは、事業の後継者が、経営者から贈与を受けた株式について、事前に後継者以外の親族と合意し、経済産業大臣の確認を受けることにより、遺留分放棄のための家庭裁判所での申請手続きを単独で行うことができる制度です。

事業承継の方法として、事業を受け継ぐ人が、ある事業主が有している株式全部の贈与を受けて、会社の支配権そのものを得るという方法があります。
しかし、その事業主が死亡した場合、その人が生前に贈与を受けていた株式が遺留分の対象財産として取り戻され、株式の一部が他の相続人の手に渡ってしまい、事業承継が達成できないことが考えられました。

遺留分とは、簡単にいえば相続が発生した場合における法定相続人の最低の取り分です。
この遺留分は放棄することができますが、家庭裁判所の許可が必要で、しかも「特定の株式についてだけ放棄する」というような放棄の仕方は、民法上認められていません。

そこで遺留分特例制度は、遺留分の取り戻しにより事業承継が達成できなくなることを防ごうと民法の「特例」として作られました。

同制度の適用範囲は、親族内での株式の贈与だけであり、親族間での事業承継でなければ、株式が分属してしまうことを防げませんでした。
すなわち、自分がやっている事業を親族ではなく信頼できる部下などの親族以外に承継させたいという場合には、これまで特例制度を利用できませんでした。

事業継承のイメージイラストしかし、近年では親族外承継が4割にものぼっています(20年前は親族内の承継が9割でした!)。その現状をふまえ親族外でも遺留分特例制度を利用できるように今回法改正されたのです。
これによって、事業の経営者が、親族外の誰かに株式を生前贈与していたとしても、予め推定相続人の親族と合意しておくことで、当該株式を遺留分算定基礎財産から除外でき、円滑に事業承継できます。

 

◇小規模企業共済法の一部改正◇

147297遺留分特例制度の拡充と合わせて、個人事業主や会社などの役員が、廃業・退職後に安定した生活を送るための資金として積立を行う小規模共済制度が見直されました。
具体的には以下の通りです。

①小規模企業者の事業承継の円滑化を図るため、個人事業者が親族内で事業承継した場合や65歳以上の会社役員が退任した場合の共済金を引き上げました。

②小規模企業者の経営状況に応じて、共済制度の掛金の変更を柔軟にしました。

 

◇弊所へ相談を!◇

弁護士橋本誠太郎画像今回の遺留分特例制度を利用するためには、相続が開始する前に遺留分放棄のための手続をしなければなりませんので、事前に準備をしておく必要があります。

また、株式だけではなく事業用の財産など、事業承継を考える際には相続に絡み多くの問題が生じてきます。

そのようなときは、ぜひ弊所に相談にいらっしゃってください。これまでの実績から得たノウハウを活かし、皆様のお役に立てればと思います。

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